【サクラフィフティーン PICK UP PLAYERS】先輩たちと、代表で。ンドカ ジェニファ[LO・NO8/北海道バーバリアンズディアナ]
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北海道バーバリアンズディアナのンドカ ジェニファは、1月から2月にかけて約3週間、沖縄にいた。
銘苅信吾HCが代表のデイゴRSに在籍する中学生とともに練習するためだ。
「(3月から始まる)代表の合宿で自分だけ劣っているのが嫌でした。北海道だと雪や人数の関係でなかなか練習できないので」
現代表では唯一、大学から競技を始めた稀有なラグビー人生を歩んできた。埼玉県出身。ナイジェリア人の父と日本人の母の間に、3人きょうだいの末っ子として生まれた。
ともにJリーガーの兄、ボニフェイスとチャールスと同様、高い身体能力を誇る。昌平高ではバスケ部に所属し、ウインターカップにも出場した実力者。168センチの体躯でコンタクト局面の多いセンターを任されるほど、当時から当たり負けないフィジカルがウリだった。
楕円球を追うきっかけは、ラグビー部の御代田誠監督(現部長)からの強い勧誘にあった。
「バスケはやり切ったのですが、ラグビーは最後まで絶対に嫌だと言っていました(笑)。でも先生も折れなかったので、こっちが折れました」
御代田監督の勧めで流経大に進学し、いきなり一流に触れた。1学年上には永岡萌、内海春菜子、北野和子、大塚朱沙、川村雅未といったセブンズもしくは15人制の日本代表がズラり。
「グラウンドでは怒られるけど、私生活ではたくさん遊んでくれて。最初はすぐに辞めようと思っていたけど、先輩のためにするラグビーがすごく楽しいと思えた。いまでも感謝しています」
必死に食らいついた。消しゴムを小さく切って人に見立て、陣形や立ち位置を叩き込んだ。あまりのキツさに同期と涙しながら寮まで自転車を漕ぐ日もあった。
2年時には代表の候補合宿に呼ばれ、早くも頭角を現す。しかし、当時は周囲の期待とのギャップに悩んだという。
「周りとのラグビーに対する熱量や実力の差は明らかで、うまく気持ちがついていきませんでした」
代表への思いが強くなったのは、大学を卒業してからだ。太陽生命ウィメンズセブンズシリーズで流経大のチームメイトと再会し、「もう一度、この人たちとラグビーがしたいと思いました」。
2023年に代表デビューを飾ると、さらなるレベルアップを図った。昨年にはNZのタウランガで半年間の武者修行を敢行。苦手意識のあったタックルの改善に努めた。
「もっとラグビーをしないと、海外の選手とも戦えないし、代表に入れないという危機感がありました」
同じくLOとバックローを兼ねる川村雅未を目標とする。分からないことがあればなんでも質問するほど頼りになる存在でもある。
「雅未さんは常にハードワークしていて、そこは私が足りていないところ。いつ見ても働いるよね、と思われるような動きができるようになりたいです」
日々のルーティンは喜怒哀楽を日記に綴ること。大学2年時に永岡萌から「3年日記」を贈られて以来、できる限り続けている。
「3年日記は同じ日が同じページにあるので、去年のこの日は何を思っていたのか振り返りやすい。あの時は心が狭くて少しは大人になったと感じたり、周りの人に恵まれているなと感謝する機会にもなります。いまは別の日記ですが、書くことは続けています」
W杯が始まる8月末からは、喜びの気持ちでびっしり埋めたい。
(文/明石尚之)
※ラグビーマガジン4月号(2月25日発売)の「女子日本代表特集」を再編集し掲載。掲載情報は2月16日時点。