ハーレクインズ連携、足湯で観戦、クロちゃんで試合告知…。三重ホンダヒート、ユニークなホストゲーム施策。


2022年度に創設されたリーグワン。今季で4シーズン目を迎え、各チームの興行は独自性を強めている。
ユニークな取り組みで光るチームのひとつが、三重ホンダヒートだ。
2月23日におこなわれた第9節・横浜キヤノンイーグルス戦では、「ハーレクインズフェス」と銘打ったホストゲームを展開。
2年前からパートナーシップを結んでいる、プレミアシップの強豪クラブを全面に出した。
ヒートはオフシーズンにハーレクインズへ選手だけでなく、事業スタッフも数名派遣していた。そこで見たホストゲームの運営、盛り上げ方を参考にした。
「イングランドは休日をラグビーで楽しむ文化がすごく根付いています。これを鈴鹿でも実現したいと思い、日本でもできそうなことをピックアップして今回のホストゲームを開催しました」(事業スタッフ)
特殊効果演出では炎の量を増やし、カラフルなスモークを放った。著名なDJであるDJ KAORIさんには、プレーの合間などを軽快な音楽で盛り上げてもらった。
さらに向こうの雰囲気に寄せ、キッチンカーではフィッシュ&チップスを販売。ハーレクインズのグッズも売り出し、同クラブの全選手のサイン入りジャージーが当たる抽選会も実施した。
試合前には、来日したバックローのトム・ロウデーや2023年W杯のイングランド代表スコッドに入ったHOジャック・ウォーカーらによる高校生対象のラグビークリニックを開いた。
普及育成担当の上村素之さんは感銘を受けたという。日本国内での普及イベントと異なる進行の仕方も参考になった。
「日本ではマイナス面を見て指導することが多いのですが、(ハーレクインズは)すべてをポジティブに捉えていて、子どもたちの気持ちをうまく乗せて成長する方向に導いていました」
「ただスキルを教えるだけではなく、ゲームをやらせた上で選手たちにどこが課題だったかを気づかせていた。そこから細かいスキルのセッションに移っていました」
ハーレクインズのスタッフはさらに、県内で高校生を教える指導者を対象としたコーチ研修も実施。
選手たちには「6歳児でもわかるように」シンプルかつ明確に伝えること、常に対象者からフィードバックをもらうことが大切と説いた。
「コーチ自身も常に学び続ける姿勢を持ちましょうと。実際に、会の終わりにも今回の研修はどうだったかを参加者に聞いていました」
向こうからも「勉強になった」と、特にホスピタリティを評価されたそうだ。
今季からはノンメンバー全員が、ラグビークリニックやファンクラブ会員とのハイタッチ企画など、ホストゲームのイベントに何かしらの形で参加している。
「先日は(四日市市の特産品である)ひやむぎの早食い大会があったので、そこに選手も参加しました。(ノンメンバーであっても)いろんな形でチームに貢献することが大事だと思っています」

ヒートの施策はハーレクインズとのフェスだけにとどまらない。
前節の三菱重工相模原ダイナボアーズ戦では「温泉DAY」と称し、おそらく日本初であろう「温泉足湯シート」をゴール裏の2か所に設置した。
事前の応募者の中から39名が、三重県を代表する菰野温泉、榊原温泉の源泉を持ち込んだ“ヒートの湯”に浸かった。
「試合中もポカポカだったと好評でした。地域と連携した独自のイベントを企画できていると感じています」
遡って1月19日の第5節・東京サンゴリアス戦では、お笑い芸人のクロちゃんを招待した。
そこでも一手間加えた。
地域の小学生から高校生の協力を仰ぎ、クロちゃんが出演するホストゲーム告知CM(30秒)のオリジナル台本を作ってもらったのだ。
その模様はヒートのYouTubeで現在でも視聴できる。
次々とユニークな施策を打ち出せるわけを、「8人の事業スタッフがひとつの部屋で作業しています。担当の垣根なくわいわいやれているなが良いかもしれません」と話す。
「イベントのブースを業者に任せているチームもありますが、ヒートは各スタッフが全部のブースに入って自分たちで手を動かします。ホスピタリティの質は強みだと思います」
しかしユニークな施策とは裏腹に、観客の呼び水となっていないのが現状だ。
ここまでの平均観客数は2956人。D1では他チームと大きく差の開いた最下位である。
次のホストゲームは4月11日に秩父宮ラグビー場(埼玉ワイルドナイツ戦)で、5月4日には三重交通G スポーツの杜 鈴鹿(トヨタヴェルブリッツ戦)でおこなわれる。
来場すれば楽しめること、間違いなしだ。

