魂のスティール3連発。パブロ・マテーラ、仲間を信じて引っ張る。
ソウルで動く31歳か。
アルゼンチン代表109キャップ(代表戦出場数)のパブロ・マテーラについて、本人が所属する三重ホンダヒートでチームメイトの中尾隼太はこう証言する。
「僕は彼から本当に影響を受けていて…。魂、熱量が凄い。本能的に動く選手です。何というのか、野獣のような。皆をまとめるのも上手くて、ちょっと天然なところもあって、バランスが取れていて面白い人です」
身長190センチ、体重111キロのFW第3列としてインパクトを示すマテーラ。おもにBKの選手がおこなう、ペナルティーキック獲得後のタッチラインの外へのキックも自ら「やろうか?」と提案するらしい。不思議さと求心力を同居させる。
1月19日、本拠地の三重交通グラウンドスポーツの杜鈴鹿。国内リーグワン1部の第5節でゲーム主将を務めた。
昨季4強ながら前節まで未勝利の東京サントリーサンゴリアスから、今季3勝目を狙った。元東芝ブレイルブーパス東京の中尾ら移籍初年度組の多いいまのヒートにあって、入団3季目のリーダー格は引き続き自然体で奮闘する。
「いいパフォーマンスができるよう準備のできている他のメンバーを信じて、引っ張っているだけです」
地上戦で光った。
前半30分、トライラインを背に左中間でスティール。サンゴリアスの反則を引き出した。
折しも2本連続トライを許すなどして7-15とリードされていたとあり、傾きかけた流れをせき止める一撃だったと言える。
その約7分後にも自陣10メートル線付近中央で、12-18と差を詰めていた後半13分にもハーフ線の近くの右の区画で球に絡んだ。いずれの場面でもペナルティーキックを獲得した。
マーカス・プレイルレフリーが笛を鳴らすたび、かがんだ体勢から上体を起こし、瞳をぎらつかせた。
「きょうは、いつも以上にレフリーがブレイクダウン(密集)を注目していると感じました。それを踏まえ、普段よりも(ボールの奪取へ)勝負しようと考えていました」
旧トップリーグ時代に5度優勝という名門と、一進一退の攻防を繰り広げた。もっとも最後は、19-27で3敗目を喫した。相次ぎスコアチャンスを逃したのが響いたか。勝ち点も奪えなかった。
「負け方にはがっかりしています。向こうに簡単に得点された一方、こちらが得点するのには苦労した」
クラブは1部昇格2季目。前年度は下部との入替戦に出ていた。現時点で12チーム中7位という結果は進歩の証でもある。マテーラは「勝つための準備はできている。それを継続する」と、約2週間後の第6節以降を見据える。