慶大、厳戒態勢?で反省 山梨学大は粘る守備&ブレイク必至の新人で魅せた
関東大学春季大会のグループBでは、関東大学対抗戦Aで昨季4位の慶大が関東大学リーグ戦1部で前年度6位の山梨学大を33-21で制した(神奈川・慶大グラウンド)。もっとも金沢篤ヘッドコーチ(HC)は不満足。人気アイドルグループ・嵐の櫻井翔を兄に持つSH櫻井修は、公式戦初先発を果たした。
2日に中大(リーグ戦1部・5位)とぶつかったばかりだった(○29-24/慶大グラウンド)。試合間隔が短いなか、「らしさが出ていなかった」と指揮官は語る。
前半15分に密集戦からNO8松村凛太郎が、続く26分にはSO青井郁也のキックパスからWTB澤根輝賢がそれぞれトライ。前半を12-0とリードしたが、後半のスコアは21-21と同点だった。
これでチームは戦績を2勝0敗、勝点を12とした。10日には慶大グラウンドで大東大(リーグ戦1部・4位)と激突する。金沢HCは言った。
「きつい状態ではあったんですけど…。山梨学大さんはゆっくりゲームをしようとしているように見えました。こちらは、それに付き合ってしまった。レッグタックル(相手の太腿をつかむタックル)と運動量、ボールを動かすこと。そういうプレーの柱を突き詰められていない。これも僕のコーチング(の責任)なんですが。(次は)相手云々よりも、自分たちらしさを出したいです」
背番号9のSH櫻井は、終始、前後左右を見渡しながらFW陣の密集への出入りを指示。安定感ある球さばきを試みていたが、後半19分に負傷交代した。チームや大学の方針から全選手への取材が著しく制限されるなか、選手層の拡大を狙う金沢HCは「(SH櫻井は)相手のプレッシャーを受けていたと思います。彼に限らず、初先発の選手はいい経験をした」とも言った。
かたや、今秋は2季連続でリーグ戦1部に挑むこととなる山梨学大は、統率の取れた守備に手応えをつかんだか。FW8人が塊となったスクラムでも、再三、ターンオーバーを奪った。「プレッシャーのなか、やると決めたことをやりきれるチームになろう」と飛躍を誓う吉田浩二監督は、ゲームのテーマをこう掲げていた。
「まずは(練習で)時間をかけて組んできたスクラムで、プレッシャーをかける。あとはBKのディフェンスで周囲とコミュニケーションを取り、インサイド(接点の周り)を破られないようにする」
攻めては、ニュージーランドのオタフフカレッジ出身のCTBタイアオ・アビレイが気を吐いた。スピード感ある、小刻みなステップを披露する。前に出る。後半29分にはインゴールを割った。途中出場のSO石川大夢のキックパスに反応し、そのまま駆け抜けたのだ。
「(トライは)SOのサポートのおかげ。できれば、(大学卒業後も)日本に残ってプレーしたい」
締まったボディだが、本人談によれば「身長は184.5センチ、体重は試合前だと101キロ」。速く、重い。春季大会の戦績を0勝1敗、勝点0としながら、吉田監督は主軸候補のルーキーに期待を抱いていた。
「(長所だと思うのは)身体とスキル、何より真面目なところですね」
山梨学大は24日、山梨・中銀スタジアムで筑波大(対抗戦A・5位)に挑む。