明大ルーキーの白井瑛人は、結果を出しながらも「未熟な部分がたくさんある」と自覚。
他人の視点で自分を見ているようだった。
明大ラグビー部1年の白井瑛人が「自分、1年生だなと、改めて感じました」と口にしたのは9月22日。群馬・太田市運動公園陸上競技場で、関東大学ラグビー対抗戦Aの4戦目で立教大を57-15で下し、無敗キープを決めた直後のことだ。
自らの防御のミスで先制点を許したのを皮切りに、総じて低調気味だったと悔やんだ。
「(この日は)ミスばっかりで。自分のプレーでいい印象はないです」
開幕から4試合続けてWTBでスターターの座を勝ち取り、計8トライを挙げたのを踏まえてこうも述べる。
「逆に、いままで(前節まで)がよすぎたところもあった。これが『1年生の普通かな』と改めてわかった。逆によかったです。自分を過大評価してもよくないので。現在地を知るのは大切だなと」
平常心も肝要だと気づいた。チーム全体にエラーがかさんでいたことには、このように所感を述べた。
「きょうは攻め急いだところがあったと思います。それまで大勝した試合が多かった。それで『もっと(スコアを)取れるんじゃないか』『自分が…自分が…』となり、自分のコントロールができなかったような…」
身長178センチ、体重83キロ。フィニッシャーとして結果を残すうえ、仕事量でも際立つ。鋭いキックチェイス、持ち場と逆側へ回り込んでの攻撃参加…。本人が不満足だとした立大戦でも、自陣ゴール前で好守を披露していた。
自身はこの調子だ。
「まだWTBとして未熟。わからない仕事はどうしようもないとして、キックチェイスのように(セオリー上やらなければいけないと)わかっている仕事はやらないと」
おもな働き場はCTBだ。端側のWTBと比べ、中央に位置するポジションである。
出身の桐蔭学園高では、3年時に2季ぶりに全国高校大会へ出場。3ぶり4度目の日本一に輝いた。今春には、20歳以下(U20)日本代表に飛び級で参加した。世代有数の実力者と謳われる。
数ある進学先候補から明大を選んだわけは、「選手層が厚いこと」にあった。
毎年、全国から俊英の集う人気校を選んだ理由について、当事者が語る。
「ジュニア(2軍)、Cチーム(3軍)にも名が知れた選手がいる。そんな環境でどれだけレベルアップできるか…と考えました。下のチーム(控え)も強くないと、優勝はできないです。(桐蔭学園高も)それがあったから優勝できたと思います。Bチームがいいプレッシャーを与えてくれていた」
渇望していた「競争」に挑み、秋までに1軍入りを果たしたわけだ。
それでも、己は「未熟」なのだと強調する。
「(周りとの)フィジカルの差をはじめ、未熟な部分がたくさんあると、日々、感じている。(部内で)先輩と1対1(のトレーニング)をして、『ディフェンス、苦手だなぁ』と思うこともあります。練習でパフォーマンスを発揮する点も、他のWTBの方に比べたら大したことはないです。(ゲームに)出させてもらっている分、1回、1回の試合で期待に応えないと。まずは怪我をしないようにして、残りの対抗戦での試合でも出られるように」
神鳥裕之監督からは、どんな言葉をかけられているか。そう聞かれれば…。
「いつも通りやれとシンプルに。あまり(多岐にわたって)言いすぎると僕が迷っちゃうのではという、監督の優しさなのかなと」
3日、東京・秩父宮ラグビー場での筑波大戦でも、キックオフの瞬間からフィールドに立つ。