ラグビーは社会へ20.3億ポンドを寄与。イングランド協会がレポート。
イングランドラグビー協会(RFU)が、ラグビーユニオン(15人制)の社会的価値に関する調査結果を現地時間10月29日に公表。国内では2023-24シーズンだけで20.3億ポンド(1ポンド=190円換算で3857億円)を寄与していると発表した。
「豊かな生活-イングランドにおけるラグビーユニオンコミュニティの社会的価値-」と題されたレポートでは、ラグビーがもたらす影響を「地域社会とのより強いコネクション」「健康と福祉の向上」「雇用・投資による経済成長」という3分野で調査した。
地域社会におけるラグビーの金銭的価値は8.23億ポンド(約1563.7億円)と推定され、この中にはボランティア活動の評価額7.36億ポンド(約1398.4億円)、クラブが集めた寄付金を含むチャリティ関連の金銭価値2200万ポンド(約41.8億円)、犯罪回避・削減による350万ポンド(約6.6億円)、教育関連の6200万ポンド(約117.8億円)が含まれる。平均して週に7時間以上ラグビー関連のボランティアに従事する人は8.9万人にものぼるという。
ヘルスケア分野では、身体・精神の健康改善に7億ポンド(約1330億円)の金銭的価値があるとされ、雇用・インフラ投資においては5億ポンド(約950億円)の経済効果がある、とレポートは示している。こうした効果はロンドンのような大都市圏だけでなく、イングランド全土に広まっているようだ。
RFUのスティーヴ・グレインジャー ラグビーデベロップメント部門執行役員は、「ラグビー(ユニオン)が人々の生活や地域社会に大きな影響を与えていることを関係者は知っていましたが、金銭的な量や詳細については明らかになっていませんでした。このレポートはラグビーというスポーツがフィールドを超えて地域社会に与える影響を示しています。各クラブが地域のパートナー獲得や資金調達の際にも貴重な資料となるでしょう」と語っている。
近年、プレミアシップでは複数のラグビークラブが破産し活動休止に追い込まれ、現在も10クラブ中7クラブが債務超過状態にあるなど、イングランドのクラブレベルでは経済的課題が多い。プロスポーツとして持続的発展を遂げるためには、収益性の改善は不可欠だ。ラグビーの魅力と金銭的価値を示したレポートをクラブは有効に活用できるか。