国内 2024.10.14

指揮官は「中枢」と信頼。早大・野中健吾は「目の前のことを丁寧にやる」

[ 向 風見也 ]
指揮官は「中枢」と信頼。早大・野中健吾は「目の前のことを丁寧にやる」
青学大戦で1T7G1PGの活躍、野中健吾(撮影:長岡洋幸)

 早大ラグビー部のBKラインには大駒が揃う。

 司令塔のSOには服部亮太。佐賀工高時代に高校日本代表となったルーキーは、春から夏にかけてのリハビリ期間を経てまもなく主力入り。身長178センチ、体重80キロで、本人はさらなる肉体強化が必要だとしながらも、現時点で長距離のキックが冴える。

 最後尾のFBには矢崎由高。こちらは身長180センチ、体重86キロだ。桐蔭学園高3年時には高校日本代表となり、早大の新人だった前年度は20歳以下(U20)日本代表へ飛び級の形で参加した。

 2年目の今年は、エディー・ジョーンズヘッドコーチ率いる日本代表に入った。6月22日のイングランド代表戦(東京・国立競技場/●17-52)から、6試合連続で先発した(非テストマッチも含む)。ラン、キックチェイスで示す圧倒的な加速力は、代表スタッフからも太鼓判を押される。

 キャラクターの明確な実力者が揃う中、大田尾竜彦監督は「(BK)ラインの中枢は野中」。かくも信頼されるのは野中健吾だ。

 身長180センチ、体重93キロの3年生は、東海大大阪仰星高の出身。昨年は矢崎も入ったU20日本代表でチャンスメーカーを担った。指揮官の賛辞はこのように続く。

「野中がいることで全体の安心感が違う。ゲーム中に色んなことに気づいてアドバイスができる」

 ポジションはインサイドCTB。服部が台頭するまではSOも担っていた。向こうの守備網にぎりぎりまで迫りながら球を動かすのが得意で、場面によっては相手と間合いを取っての展開にも切り替えられる。適宜、最適なポジショニングができる。守っても鋭いタックル、好カバーが冴える。

 10月11日、群馬・太田市運動公園陸上競技場。加盟する関東大学対抗戦Aの青学大戦で12番をつけた。時に自身が接点から最初に球を受け、その後ろに服部らを配する布陣を首尾よく運用。67-0で開幕3連勝を決め、こう述べた。

「(相手の)ディフェンスラインに近いところで、僕が先頭に立って前に行くことが早大のアタックにとっては重要。(その手の動きは)得意なほうではあるかなと思います。試合が始まれば背番号は関係ない。僕と服部でいいコントロールができたら」

 矢崎をはじめとした同世代の選手がナショナルチームへ呼ばれる。渦中、野中はピックアップされた面々に「すごいな」と感心しつつ、「日本一に向けて早大で頑張る」。地に足を突ける。

 自分と向き合い、定めたテーマは「練習中 、ひとつひとつのプレーを 100パーセントで取り組むこと」。いつでも前方に目を配ってよい判断をすること、防御で圧力をかけることといったテクニカルな課題を念頭に置きながら、それを問う以前の心構えに着目するのだ。

「目の前にひとつひとつを全力で取り組むことが、プレーヤーにとって大事だと思っています。(早大には)いいコーチングスタッフが揃っている。その中で成長できていると感じます」

 スポーツ選手も人間だ。言葉にすると簡単に映る「100パーセント」も、タフなトレーニングとゲームが重なるなかで遂行するのは簡単ではない。若いうちに「言うは易く行うは難し」と言えるこの習慣を身につけたら、学生時代はもちろん次のステージでの進歩も促せそうだ。野中は頷く。

「目の前のことを丁寧にやっていきたいです。やっぱり、細かいところが勝敗を分けると思うので」

 国内リーグワンの関係者から注目されるのも自然な流れ。将来については「レベルを上げて、ひとつでも上のところ(ステージ)へ行きたいです。(進路は)後々、わかることです」と応じた。

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