大阪桐蔭高、「自分たちの形」と試合巧者ぶり示し、2季ぶりの王座へ
濁りのない意志を示したのは、SH杉山優平主将である。
「最初から自分たちの形を出していこう、ここまで来たんだからラグビーを楽しもう、と。それを全員で共有していました」
春季の高校日本一を決める全国選抜大会(埼玉・熊谷ラグビー場)の準決勝が6日、おこなわれ、大阪桐蔭高(4大会連続4回目)が千葉・流経大柏高(3大会連続10回目)に30-26で勝利。優勝した2013年度以来、2度目の決勝進出を決めた。試合運びの妙と組織的な攻撃に自信を持つ。
この日は序盤からキック合戦を制し、素早く攻撃陣形を作り続けた。「相手はラッシュディフェンスをする。少しためて(向こう側の守備網と間合いを取って)いこう」とは、密集近辺のシェイプ(型)をリードするSH杉山である。
一気に前に飛び出す守備システムを、「速く」の意識で制御したかった。
「できるだけ、速く(型を)セットしよう、と。ラッシュディフェンスって、人数が揃わないと思い切って出られないじゃないですか。だから、こちらが相手より速くセットすることで、上がらせないようにした」
点差を詰められた直後にペナルティゴールを決めるなど、流経大柏高の相亮太監督に「嫌がることをしてくる。試合巧者」と言わしめた。後半21分に22-21と迫られたが、1分後の22分、敵陣22メートル線付近左のラインアウトからSH杉山主将が抜け出す。トライでスコアを27-21とし、勝負を決めた。
「僕たちはBKにいい選手が多い。ランニングスキル、キックも上手い選手が多い。だからどんどん展開を、と。敵陣でプレーしたほうが、思い切って自分たちのラグビーができる。点差、時間帯を見て判断する。ベンチからも指示はあるけど、自分たちで考えてプレーします」
準々決勝では、昨季全ての全国タイトルを総なめにした東福岡高(9大会連続12回目出場)を29-17で破っている。
「あの試合は、自分たちがこれまでやってきたディフェンスがばっちり、はまった。試合をしながら笑顔だった」
7日の決勝戦の相手は、初めて王座についた時と同じ大阪・東海大仰星高(3大会連続14回目)である。SH杉山はこう結んだ。
「決勝も、準決勝と同じように、最後までラグビーを楽しむ」