ウェリントン7’s開幕まで、あと2日。藤田慶和、「速さ」を手に入れる。
ハッキリした口調だった。
「自分にいま一番必要なものはスピードです。それをもっとも要求される場所に行くことで、それを手に入れたいので」
2月6日に開幕するHSBCセブンズワールドシリーズ、ニュージーランド大会(ウェリントン/2月6〜7日)と、翌週開催のアメリカ大会(ラスベガス/2月13〜15日)への準備をウェリントンで進める男子セブンズ日本代表。そこに名を連ねる藤田慶和は、日本を発つ前に冒頭のように話した。
昨年のパシフィックネーションズカップ、カナダ戦で肩を負傷し、12月にやっと戦列復帰した。しかし所属する早大は大学選手権のセカンドステージでの敗退が決まり、出場できた試合は僅かな数だけ。だから本人は言うのだ。
「プレータイムが少ないので、それを増やして、もっと感覚を取り戻し、高いレベルでの経験を増やしたいんです」
本人には自負がある。
「これまで、肉離れとかそういう系の怪我はない。負荷がかかっているプレー中でのものばかりで」
オーバーワークが原因になったわけでも、肉体がスピードやイメージについていけずに起こった怪我でもない。むしろ身体のクォリティーには自信がある。世界レベルをもっと経験して対応力を高めることが、この先のアクシデント予防にもつながると考える。
ワールドカップイヤー。その舞台へ向かうジャパンに選ばれる可能性の高い藤田は、セブンズの活動への参加を必要なものとも考えている。ワールドカップへ向けて怪我なく過ごすことを優先し、コンディションを整える日々を過ごすのも大事だろう。しかし、進化しないとワールドカップメンバーへの選出も確実ではない。メンバーに選ばれたとしても、もっと速く、強くならなければ大舞台で活躍できない。だから、実戦での怪我や疲労蓄積のリスクより、スキルと経験値の進化を得るメリットの方をアスリートとして選んだ。
昨春は香港で顔をくしゃくしゃにした。コアチーム昇格を手にした彼の地での決戦。藤田は貴重な時間を過ごした。準決勝のロシア戦ではパスをインターセプトされてトライを許す。0-14とされたときには青ざめた。
しかし、それでも決勝で起用された。指揮官と仲間の信頼を感じながらの大一番を制し、気持ちが強くなった。「このカテゴリーに限られた中ですが、世界一になって自信がついた」とも語った。NZ大会からアメリカ大会、香港大会、日本大会(TOKYO SEVENS 2015)と続くシリーズの中で、世界に通じるスピードとハートを手に入れて、ワールドカップへと続く道を全速力で駆けるつもりだ。