日本代表 2024.05.29

「いい仲間ばかり」ダイナボアーズ石田一貴、日本代表候補入りに喜び。

[ 向 風見也 ]
「いい仲間ばかり」ダイナボアーズ石田一貴、日本代表候補入りに喜び。
スキルフルでどのポジションも高い次元でこなす。小柄だがタックルも強い(筆者撮影)



 28歳で初めて胸に桜のエンブレムをつけた。日本代表のモチーフだ。

「(ターゲットまでは)まだ通過点ですが、ここまで達成できたことは嬉しかった。やってきたことが間違いではなかったと、自分の成長を実感できました」

 三菱重工相模原ダイナボアーズの石田一貴は、長野での「15人制男子トレーニングスコッド 菅平合宿」に参加した。

 5月20日からの9日間、代表候補が集まっていた。このキャンプでは国内リーグワンのプレーオフ、入替戦に出ていないクラブの選手を対象に戦術略の落とし込み、さらにはセレクションがなされた。

 身長173センチ、体重85キロの石田は、ゲームライクなトレーニングではおもに司令塔のSOを務めた。

 所属先ではおもに最後尾のFBを務めるが、「指名されたポジションを全力でやるだけです」。猛練習を好むことで知られるエディー・ジョーンズヘッドコーチのもと、早朝のコンタクトセッション、最終日の実戦形式テストに挑んだ。

「これが、エディーさんの練習か…という感じ。周りもいい仲間ばっかりで、きつい中でも楽しめたかなと思います。ステップワーク、キックという強みは通用すると感じました。課題はコミュニケーション、リーダーシップ、コンタクトです。特にコンタクト。小さくても低く、激しくいかなくてはいけない」

 日体大で主将を務めたのち、清水建設に就職した。2018年だった。学生時代には旧トップリーグのチームからも誘われたが、本人の認識では「正式なオファーではなかった。誰かが(そのクラブに)来なかった場合の控えという感覚」だった。

 現在リーグワン3部に加盟する清水建設江東ブルーシャークスは、当時も下部リーグに在籍。同世代の戦士がトップレベルの舞台で活躍するのをテレビなどで見るうち、奮い立った。

「悔しかった。大学では戦えていたのに…と、自分だけ(他選手と)距離を感じた。人生1回。やるからにはいけるところまでいきたい、代表を目指したい。そう覚悟して、移籍を決めました」

 ダイナボアーズの門を叩いたのは’20年。移籍3年目からはリーグワンの1部でプレーした。鋭いランで気を吐いた。

「ダイナボアーズでは一貫性のあるプレーを常々、求められてきました」

 ジョーンズHCの説明によると、現状34名の菅平組は29日の午後に「15~16名」に絞られる。上位チームの選手を交えた正規の代表メンバーは30日に発表され、6月6日からの宮崎合宿へ臨む。

 今後の選考について聞かれた石田は、「発表はないですけど、まぁ、行きたいです。代表のジャージィを着て試合をするのが目標。ここで何があっても一喜一憂せず、そこを目指して常々やっていきます」と話す。

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