ワールドカップで笑うために。堀江翔太、レベルズでの今季プレーを断念。
トップリーグ王者になって笑顔だったキャプテンが、優勝記者会見後に「もうちょっとだけいいですか」と言って神妙な顔になった。
「今年のスーパーラグビーをあきらめます」
過去2シーズンに渡りメルボルン・レベルズ(オーストラリア)でプレーし、今季も契約を更新していた。パナソニックのHO堀江翔太主将が、辛い決断を報道陣に告げた。
「首の調子が良くなくて、悩んでいたんです。(LIXIL CUP)準決勝で悪化して検査した結果、(このままプレーを続けるのは)よくない、と(いう結果が出たので)」
昨シーズン実績を残し、今季はレギュラーの座に就く可能性も高かった。しかし、決断した。理由は明快だった。
「ワールドカップイヤーなので手術をします。(スーパーラグビーを)楽しみにしていたけど、4年前に負けた(1勝もできなかった)悔しさを忘れられない。その思いを晴らすためにワールドカップに向けて頑張りたい」
首の神経が圧迫され、極端に左手の握力が落ちている。その状態を本人は、「パーができない(手のひらを広げられない)」と話した。
「小指、人差し指、中指が下がったままなんです。だからテーピングで固めないとパスを捕れない。握力が14kg〜20kg程度しかないんです」
スーパーラグビー3年目。チームの中での自分の立ち位置も見えていたから、今季への思いは強かった。「レベルズは、僕を成長させてくれた」と話し、何人もの仲間の名前を出して、深いチーム愛を伝えた。でも、それでも桜のジャージーを着て勝利をつかむことを最優先することに決めた。長くジャパンの中核としてプレーしてきた者の矜持であり、最高峰の大会で最高のパフォーマンスを出したいというアスリートの本能だ。
チームの理解も得て日本選手権には出場せず、できるだけ早い段階で手術を受ける。順調なら約3か月で復帰予定。そこからワールドカップへ向けて全速力で走る。
ジャパンへの思い。レベルズのチームメートは、ワールドカップでのショータのプレーを見て、その思いがどれほど大きいものだったかを知るはずだ。