海外 2024.04.23

韓国最強リーグ戦、李承信の兄など日本から参加の選手が躍動

[ 見明亨徳 ]
韓国最強リーグ戦、李承信の兄など日本から参加の選手が躍動
開幕連勝のOK金融ラグビー部。応援も根強いファミリーだ(写真提供:李東慶さん)


 韓国ラグビー界、最高峰のリーグ戦「2024コリアスーパーラグビーリーグ」が4月14~27日の隔週、社会人3チーム(現代グロービス、OK金融、軍体育部隊=尚武)に学生王者・高麗大が加わり開催中だ。4月20日までに2節を終えた。現代グロービスとOK金融が2連勝、27日に春の王座をかけて対戦する。

 今季も社会人チームには日本から一時加入の選手が在籍しチームを引っ張っている。元大阪朝鮮高監督の呉英吉(オ・ヨンギル)監督が率いるOK金融が筆頭だ。
 左PR李承記(リ・スンギ、法大・大阪朝高)は弟が三重ホンダヒートのHO李承爀(リ・スンヒョ)、そして三男が日本代表SOでコベルコ神戸スティーラーズの李承信(リ・スンシン)。今回、恩師、呉監督の依頼で久しぶりに現役復帰した。右PRは崔暢賢(チェ。チャンヒョン、日立サンネクサス・帝京大・大阪朝高)とルリーロ福岡から寺脇駿(釜石・サニックス・京産大・日本航空石川)が参加。さらにルリーロからNO8フィナウ・マカヴァハ(丸和運輸・花園大)。SHは牧山巧樹(レッドハリケーンズ大阪・名古屋学院大・御所実)にFB/CTBマノア・ラトウ(22年度のみ埼玉パナソニックワイルドナイツ・花園大)が名を連ねた。
 現代グロービスは提携先の浦安D-RocksからFB高野祥太(青山学院大・小倉)が第2節から参加している。

オレンジジャージーのOK金融が尚武を圧倒した(写真提供:李東慶さん)

<第2節、OK金融CTBラトウが2トライで優秀選手に>

 OK金融は第2節、軍体育部隊(尚武)と対戦した。前後半3トライずつ、計6トライを奪い43-7(前半22-0)で圧勝した。この日は第1節に後半から入ったPR寺脇駿とFBで3トライをあげたマノア・ラトウがインサイドCTBで先発した。ラトウは開始3分にボールをもらうと大きくゲインするも得点には至らず。7分、SOハン・グミンのPGで先制する。20分、尚武陣10メートル線の内側左ラインアウトから出たボールがラトウに渡る。中央インゴールへ運んだ(10-0)。34分にもラトウがパントを尚武から奪い取り2トライ目(通算5トライ)を記録した。

 後半最初に左PR李承記、右PRは崔暢賢が加わる。李は第1節に先発、「緊張しました。弟たちに負けないように頑張ります」。弟も長男にエールを送る。次男・承爀は「兄は韓国に行くことが決まって自分でトレーニングしていた。大丈夫でしょう」。今季チームではCTB、そして4月21日、プレーオフ進出を逃したクボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦では高校以来のFBを務めた三男・承信も「自分にとって刺激になります」。崔は韓国代表入りも視野に入れているという。

李3兄弟の次男・李スンヒョ「兄はひとりでトレーニングしていた。大丈夫です」(撮影:見明亨徳)
三男・李スンシン「刺激になります」(撮影:見明亨徳)

 後半はNO8フィナウ・マカヴァハが躍動する。2分、右ライン際でパスを受けると快走し、オフロードでフォローしたHO朴ゴンウへ。最初のトライを呼んだ。5分に尚武がリスタートからの攻撃でCTBアン・ジュンチョルが仕留めて7点を返す。締めはマカヴァハだった。36分、敵陣5メートル手前の左ラインアウト。ボールをもらうとインゴールへ突き進む。42分には尚武陣ハーフライン内の尚武ボールスクラムをOKが押す。するとOK側に出てきたボールをマカヴァハが拾い40メートルを走り切り連続トライで仕留めた。マカヴァハは2試合で7トライとトップを行く。SH牧山巧樹は21番を背負い後半途中からピッチに立った。OK韓国人SHカン・ミンジュンに良い刺激を与えている。
 ラトウが試合の最優秀選手に選出。1節のマカヴァハに続いた。

 この試合を観戦した李3兄弟の父、李東慶さん(リ・トンギョン)は「今回の試合前まで3連敗していたチームに勝てたのは各国の選手たちの良い影響、そして韓国選手たちの思いが出た良い内容」と振り返った。

左からOK金融のPR崔暢賢、李東慶さん、PR李承記(写真提供:李東慶さん)

<現代グロービスで高野祥太が韓国デビュー>

 もう一試合は、現代グロービスと高麗大戦。浦安D-Rocksから加入した高野祥太はリザーブ22でメンバー入り。前半12分にインサイドCTBとしてピッチに立った。昨年5月のリーグ戦で現代加入が予定されていたが中止していた。この日、韓国デビューとなった。

 試合は現代が3分、高麗大から兵役を送る尚武入り前に加入したLO李ヒョンジェが先制のファイブポインターになる。25分に同じ立場のFL金チャンジュがインゴールへ入る。32分には敵ゴール前のスクラムを押し込むと高麗がコラプシング。ペナルティトライとなり26-0とした。
 若くて元気がある高麗がここから挑んできた。38分にFL金ウォンジュのタッチラインを踏まない走りからPR呉ミンテクが仕留める。ハーフタイムを挟み6分、FL金がゲインをするとNO8金ジェヨンのトライへつなげた。さらに2分後、FL朴ミングが55メートルの大きくゲイン。WTB李ムンギュが中央へ飛び込み26-19と迫った。

 しかし、高麗の奮闘はここまで。現代が25分までに連続トライを奪い38-19と差を広げた。34分、元日野レッドドルフィンズWTBの鄭演植(チョン・ヨンシク)がラインアウト起点で5点を取り切る。コンバージョンは高野に託された。これを決めて韓国で初得点を記録。この後、お互いに1トライずつの50-26で終えた。

・第1節(4月14日):OK 67(31-12)36 高麗大。現代 34(10-7)21 尚武

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