名勝負の記憶いろいろ。香港セブンズ、現スタジアムでの開催は今年が最後
街の中にラグビージャージー姿の人が急激に増える3日間が今年もやってきた。
香港セブンズ(HSBCワールドラグビー・セブンズシリーズ第6戦)が4月5日(金)に開幕、7日までおこなわれる。
舞台となる香港スタジアムでの開催は今回が見収めとなる。
『香港大球場』と表記される現スタジアムでの最後の大会の初日は、薄曇りの天気。時折日差しが出て蒸し暑い。
例年通り、初日の早い時間のスタンドの埋まり具合は3割程度。観戦者の数は日曜日にかけて増えていく。
今大会のオープニングゲームに登場したのはサクラセブンズだった。カナダと戦い5-24と敗れた。
チーム唯一のトライを奪ったのは三枝千晃。得点シーン以外にもチャンスはあったが、トライラインを越えたのは一度だけだった。
日本ラグビーと香港セブンズの縁は深い。日本代表は1976年の第1回大会から出場している。
1980年大会と1999年大会ではプレート(中位グループ)トーナメントで優勝。ファンを喜ばせた。
特に1999年大会のプレート決勝(対スコットランド)はラストプレーで逆転しての優勝だった。
自陣から攻め、大畑大介が走り切ったトライは語り継がれるシーンとなった。
そのジャパンの躍進は、香港フットボールクラブで始まった大会が場所を香港ガバメントスタジアムに移し(1982)、さらに現在の近代的スタジアムを舞台としてから6年目のことだった。
1994年に屋根付き、4万人収容と生まれ変わった香港スタジアムが会場となった。
2020年、2021年の大会はコロナ禍で中止となったため、同スタジアムでの開催は今回が29回目だった。
29回の歴史の中で、このスタジアムでもっとも多くプレーしたのは男子セブンズ日本代表キャップ62(最多)を誇る坂井克行氏だ。
五輪予選なども含め、香港スタジアムの芝を10大会で踏んでいる。
同スタジアムの魅力を「観客との距離が近いこと。秩父宮の(スタンドとの)近さと、国立競技場の大きさがある」と話す坂井氏の頭の中には、いろんな思い出が刻まれている。
「コアチームに初昇格した時には(2014年/コアチーム昇格大会が香港セブンズと同時開催された)、それを決めた試合後に『上を向いて歩こう』を流してくれました」
その大会で橋野皓介が見せた、スワンダイブ→ノックオンのシーンもよく覚えている。
2025年から大会は、今年オープンした啓徳スポーツパーク(Kai Tak Sports Park)で開催される。
場所は、香港スタジアムのある香港島でなく、海を挟んだ対岸、九龍側。約5万人のファンを受け入れることができる。
仮装したファンが集まり、大騒ぎするサウススタンドは、香港スタジアムの名物だった。
今年の大会では、サウススタンドの文字が入ったシャツなどが売り出され、飛ぶように売れている。
新スタジアムも、多くのラグビーファンから愛されるものになってほしい。