原悠翔は笑顔のオールラウンダー。先発総入れ替えの大阪桐蔭FW陣で「◎」目指す。
意気込みを語り、にこりと微笑む。原悠翔。大阪桐蔭の新3年生だ。
綾部正史監督によると、「かわいい子。キャラは、いいと思います」。いざ本番では頼りになるのだと、指揮官は言う。
「まずスクラムを安定して組める。フロントロー(最前列)でありながらフィットネスが高いので、ボールに絡んでもあまり大きなエラーがないです」
本人が力を示したのは3月。埼玉・熊谷ラグビー場での全国高校選抜大会だ。最前列の左PRに入り、スクラムで好プッシュを重ねた。
守っては接点の球へよく絡んだ。そのまま奪い取ったり、向こうの反則を誘ったりする動きについて聞かれ、こう答えた。
「(ターンオーバーを)狙えるところは、狙っていきたかった。ボール(球出し)を遅らせたら『○』。そのまま獲れたら『◎』でした」
攻めても突進の際、タックラーの芯から逃れるよう軽やかに回転。身長176センチ、体重100キロと一線級にあってはやや小柄も、存在感を示した。クラブにとり11年ぶり2度目の大会制覇を果たした。
「全員がずっと走り切って、相手にテンポを出させなかった」
今季の大阪桐蔭は、FWの主要先発選手を昨季から総入れ替え。高校日本代表の両PRだった村田元気、野村俊介、突破力があるNO8の上野凌大らが卒業したなか、新たにレギュラーとなったメンバーだけで威力を示す。
綾部が「日頃、しっかりと練習を積んでくれている。その成果が出たと」と話すなか、原はこう続ける。
「(今季のFW陣は)例年に比べてサイズは小さいですが、まじめな人が多い。おもしろくなると思います」
大阪桐蔭が冬の全国大会で初めて日本一となった2018年度は、まだ小学6年生。競技を始めたばかりだった。
現・東京サントリーサンゴリアスの高本幹也、現・クボタスピアーズ船橋・東京ベイの江良颯を擁するこのチームが頂点に立つ姿に「かっこええなぁ」と憧れ、いまいる場所へ足を踏み入れるに至った。現在はこうだ。
「スクラムでも勝てて、フィールドでも仕事ができる、オールラウンダーのPRになりたいです」
頂点に立つ先輩たちに惹かれ、自分たちもひとまず頂点に立った。好循環の只中にあって、「新チームが始まってからの短い時間でディフェンスを仕上げられたのはよかった。でも、冬が本番。もう1、2個、レベルアップできるように頑張っていきたいです」と目を細めている。