ヴェルブリッツの新戦力。トム・ロビンソンは「瞑想」で鍛える。
オレンジがかった長髪を束ね、フィールドに立つ。突進する。足をかく。
スタッフによると、スクラムを組む際は覚えたての日本語で「イキマショー!」と発破をかけるようだ。
豪快で明るく人気の出そうなラグビーマンが、トヨタヴェルブリッツへやって来た。
「自分でもよくやっていると思います。レッグドライブを継続し、治すべき点を改善したいです」
身長198センチ、体重110キロのトム・ロビンソンは、ニュージーランド北島ケリケリで育った29歳だ。2019年からオークランドのブルーズの一員として、国際リーグのスーパーラグビーに参戦。日本に来たのは、「人生の冒険をしたい」からだったという。
「違った経験をしたい、居心地のいいところから抜け出したい、と思いました」
実際に来日すれば、「いいね! 挑戦を楽しんでいる。人間として成長できている」。通訳やポッドキャストを通じて日本語に親しみ、取材でも覚えた単語を使おうとする。
「日本の…。料理! 日本料理!」
日本食もお気に入りのようだ。特に好きなものは…。「タフクエスチョン! 難しい!」。日本語と英語を交えて応じる。
「焼肉、寿司…その他諸々です」
本腰を入れているのは、「瞑想」だ。
ニュージーランド時代から「自分のマインドセットを成長させる」ために取り組んでいて、いまは自室に「禅の空間」を作っている。
「自分自身のことを見つめ直す、いい時間を持てている」
いまは国内リーグワン1部に参戦中で、12月9日の初戦からここまで1勝1敗。23日には本拠地の愛知・パロマ瑞穂ラグビー場で、現在2連勝中の三菱重工相模原ダイナボアーズとぶつかる。
「この2試合で、『(目指す基準まで)もう少し』のところに来ています。『そこ(基準)』に到達したら、勝ち続けられるチームになっています。(自身の目標は)試合に出て、各試合で良いパフォーマンスをすること。日本文化も学びたいです」
瞳を閉じて心を静め、激しく戦う。