冷や汗のリーグ戦2連覇! 流経大、中大にロスタイム逆転勝利で王座へ
関東大学リーグ戦1部の昨季王者、流経大が2連覇を達成した。30日、東京・秩父宮ラグビー場で中大を26−21で制した。これで6勝1敗、勝点25で東海大と並び、当該校同士の対戦結果から通算3回目の優勝を決めた。
微妙な駆け引きの末、流経大が後半ロスタイムに逆転勝利した。
19−21と2点差を追う40分頃、グラウンド中盤の接点でターンオーバー。右へ展開する。タッチライン際を駆けたWTB桑江健一郎がインゴールへ手を伸ばすも、足がタッチラインの外へ出たとの判定が下った。微妙な判定に、スタンドはどよめいた。
もっとも直後のラインアウトから、中大が密集から球を出せないパイルアップの反則を犯す。ここで流経大はスクラムを組み、立て続けに相手のペナルティを誘う。そして44分、FL廣瀬直幸が足元にあったボールを拾って速攻を仕掛けた。トライを決めて24−21とし、ゴール成功を前に大喜びした。
反則の起こった地点とFL廣瀬直が走り出した地点が微妙にずれていたかもしれなかったが、当の本人は「しょうがない、ですね。あのタイミングで行けたから(トライが)取れたので」と述懐。敗れたPR檜山翔一主将も潔かった。
「(その状況を確認できるほど)冷静じゃなかったので」
勝ち越すまでの間、流経大のCTB木村海斗主将は、仲間に「周りは気にするな」と声をかけていたという。
「(観客を含め)周りは完全に中大の雰囲気。タッチラインに出たのもトライかなとは思ったんですけど…。ただ、自分たちのラグビーができれば相手陣にも入れるし、得点のチャンスもある、と」
終盤まで、中大がペースを握っていた。酒井宏之ヘッドコーチの「自陣22メートルに相手を入れさせない」との目論見通りに、SO浜岸峻輝のキックで前進。FL小野雄貴らFW陣がしぶといタックルで流経大のランナーを押さえ込み、後半22分、25分に獲得したペナルティゴールで14−16と勝ち越した。続く28分にはWTB伊藤大地がゴールラインを割り、14−21とリードを広げていた。それだけに試合後、流経大のCTB木村主将は「しんどかった」と苦笑したのだった。
「仲間には圧倒しようと声をかけていたけど、僕としては接戦もあるな、と思っていた。中大さんはひたむきに来るので。ただ、ここまでとは…。バクバクでした。心臓」
敗れた中大は3勝4敗、勝点16、5位となった。12月14日からの大学選手権セカンドステージでは、この日に戦ったリーグ戦の両校ともプールBへ参入する。ただ、チャンピオンとなったCTB木村主将は、同組でぶつかる関東大学対抗戦Aのチームへ視線を注いでいた。
「1人ひとりの突破の爆発力、サポートの選手の爆発力を上げなきゃ、対抗戦のチームには通用しない。きょうもサポートがきちんと寄れなくてノット・リリース・ザ・ボール(自軍の接点から球を出せない反則)という部分もあったので」
クラブ初の4強入りに向け、肉弾戦でのプレーの質を高めたい。