国内 2014.11.22

東福岡、“修猷館旋風”止めて全国3冠へ前進! 萩商工、北条も花園へ

東福岡、“修猷館旋風”止めて全国3冠へ前進! 萩商工、北条も花園へ

Higashi

激戦区・福岡県の戦いを制し、笑顔を見せる東福岡高校の選手たち(撮影:K.Takenaka)

 今春の全国高校選抜大会と夏の全国高校7人制大会を制した東福岡高校が、第94回全国高校大会の福岡県予選を圧倒的強さで突破し、15年連続25回目の花園出場を決めた。

 11月22日、春日公園球技場。東福岡は、福岡県代表を決める最後の戦いにチャレンジャーとして臨んだ。5月下旬、全九州高校大会の福岡県予選準々決勝で修猷館高校に26−29で敗れていた。「負けたのは2軍だったんだろう」と思った人は大勢いる。勝った修猷館も、ヒガシのベスト布陣を倒したとは思っていなかった。しかし、東福岡の古川聖人キャプテンは真剣な表情でこれを否定した。「どんなときも、試合に出たメンバーはAチームなんです。修猷館が王者なんで、失敗を恐れずに立ち向かっていき、リベンジしたい」。

 修猷館×東福岡、再戦。頂上対決は開始早々からスコアが動いた。前半1分、敵陣で攻めていた修猷館だったが、ハーフバックがボール処理に手間取り、ターンオーバー。東福岡が左へ展開し、抜け出したWTB岩佐賢人からFB高野恭二へとつなぎ、先制トライが生まれた。ヒガシは2分後、相手のラインアウトミスからボールを確保して一気に攻め上がり、ギャップを突いたSH古賀駿汰の独走でリードを広げた。

 これ以上離されたくない修猷館は激しいタックルを連発し、早いプレッシャー掛けで、しばらく相手の足を止めることに成功した。しかし、自分たちのアタックは肝心のところでミスが出て得点できず、準決勝で失敗続きだったラインアウトはこの日も終始不安定で、流れを悪くする。

 前半、敵陣で長く戦った修猷館だったが、22メートルライン内に入られてからの東福岡のディフェンスは粘り強かった。その後、PGで3点を追加したヒガシは、ハーフタイム前にブレイクダウンのターンオーバーからテンポよくボールを回して3トライ目を挙げ、前半を24−0で終えた。

 後半もグリーンジャージーの若人たちは手を緩めず、FWのパワープレーで追加点を奪うと、ロングパス、スピードラン、力強い突進の連続で修猷館の防御網に穴をあけ、個人技でも上回り、結局、合計8トライを挙げて59−0で試合終了の笛が鳴った。

 敗れた修猷館のキャプテン、PR柴尾将希は意外にもサバサバしていた。春、57年ぶりに福岡県を制し、旋風を巻き起こした今季の締めくくりは37大会ぶりの花園出場が期待されたが、完敗だった。
「自分たちのタックルはできました。それで負けたんで、ヒガシが強かったということです。アタックでは、継続したらトライを取れるチームなんですけど、それがうまくいかなかった。この1年、周りから注目されて、勝ちたかったな、という気持ちは正直あります。でも、自分たちがやれることは全部やりました」

 修猷館の熱い魂は東福岡に伝わった。古川キャプテンは、「今までは東福岡のためにやってきましたが、今度は福岡県代表として花園に臨みます」と語る。「この大会では他チームからもたくさん刺激を受けました。修猷館のひたむきさ、小倉のブレイクダウンのファイト…。どの高校も一生懸命だった。彼らの想いも背負わなきゃいけないという気持ちです。福岡県ラグビーの仲間のためにも、優勝を目指して頑張っていきたいと思います」。

 東福岡の監督に就任して3年目の藤田雄一郎監督は、花園の目標を聞かれ、はっきり「日本一」と言った。「今年は3冠を獲りに行くと、新キャプテンを発表した一番最初のミーティングから言ってきました。選抜優勝、セブンズ優勝、そして最後の大会。日本一は背伸びしたら届く位置にあると思っているんで、その分をこれから1か月頑張っていきます」。

 冬の大舞台で東福岡が優勝したのは2011年度大会が最後。古川キャプテンは、指揮官に最高の恩返しをするつもりだ。「自分たちが1年生の時に藤田先生が監督に就任したんですけど、藤田先生のもとで花園優勝はまだない。本当にお世話になってきたので、なんとしても、藤田先生を花園で胴上げしたいと思っています」。

 第94回全国高校ラグビー大会は12月27日から大阪・近鉄花園ラグビー場で開催される。

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 11月22日は山口県と愛媛県でも予選決勝がおこなわれ、萩商工高校(山口)と北条高校(愛媛)も全国大会出場を決めた。萩商工は大津緑洋高校を17−12で下し、2年ぶり20回目の優勝。北条は58年ぶりに決勝進出した松山工業高校に21−19で競り勝ち、3年ぶり4回目の花園行き切符を獲得した。

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