【RWC2023】歴史が動いた。オールブラックス、史上初めてプールステージで敗戦。フランスが開幕戦制す
歴史が動いた。
過去9回のワールドカップで3度優勝し、これまでプールステージで一度も負けたことがなかったニュージーランドが敗れた。
9月8日にフランスで始まった第10回のW杯。開幕戦でホスト国のフランスがオールブラックスを27-13と破った。
前半は9-8。後半の多くの時間で主導権を握って2T1G2PGを積み重ね、快勝を手にした。
先手を取ったのはオールブラックス。開始1分過ぎ、ラインアウトから攻める。CTBリーコ・イオアネがビッグゲインしてチャンスを掴んだ。
たたみかけた黒衣はゴールラインに迫る。
最後はFBボーデン・バレットのキックパスをWTBマーク・テレアが受けて先制トライを奪った。
しかしこの日のフランスは、激しく戦いながらも落ち着いていた。
コツコツとPGを重ねてハーフタイムまでに逆転してみせた。
前半にチャンスを多く作ったのはオールブラックスだ。セットプレーからの仕掛けなどでチャンスの芽を作り、攻め込んだ。
それに対しフランスは、FWが踏ん張った。
5分、HOジュリアン・マルシャンがジャッカルから相手反則を誘う。FBトマ・ラモスがPGを決めた。
20分、29分にはスクラムでコラプシングを誘い、そのチャンスにもラモスがPGを決めた。
オールブラックスに3点を追加されたものの、リードをして前半を終えた。
フランスは、後半も先に得点を許した。開始直後のチャンスを逃すと、4分過ぎ、WTBテレアに左サイドを走られてこの日2つ目のトライを許した。
スコアは9-13となった。
青いジャージーにエンジンがかかったのは、後半10分過ぎからだった。選手たちの、迷うことなく前へ出る気持ちがより強くなった。
この日、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれたNO8グレゴリー・アルトリッドは、「最初から80分、いいプレーをし続けた方が勝つと言っていたんだ」と話す。
SHアントワンヌ・デュポン主将も「タフな試合だったが、自分たちは落ち着き、試合を通してハードワークした」と誇らしげだった。
勝負どころで特に輝いたのがSOマチュー・ジャリベールとWTBダミアン・プノーだ。
後半15分の逆転トライはラインアウトからの攻撃後。ジャリベールがミスマッチに仕掛けてずらし、プノーがインゴールに飛び込んだ。
25分、34分とラモスのPGで加点し、とどめは38分のメルヴィン・ジャミネのトライだった。
SHマキシム・リュキュのキックをジャミネがインゴールに押さえた。ベンチスタートのふたりのコンビで奪ったトライに、チームは沸いた。
7万8690人のファンは試合前から試合中と騒ぎっぱなしだった。そして、フルタイムの瞬間には誰もが立ち上がり、叫んでいた。
ケガで出場予定メンバーから急遽変更、欠場したFLサム・ケイン主将に代わりゲームキャプテンを務めたアーディー・サヴェアは、ラスト20分の規律の乱れを悔やんだ。
しかし、「勝利への意志はまだ持っている」と下を向くことはなかった。