関東大学対抗戦A開幕! 王者・帝京大、ダイナミックに18トライ
紫紺のジャージーは、何度か猛タックルをお見舞いしたり、思い切りよく切れ込んで防御を突破したりした。それで慌てたり、いらついてくれたりしたらいいのに、真紅の王者は乱れない。落ち着いてボールを取り返すと、いろんな方法で球を相手インゴールに向かって運んだ。
走る。当たる。塊になって。18トライも重ねられたのは、安定した80分を過ごしたことの証明だ。9月13日に秩父宮ラグビー場でおこなわれた関東大学対抗戦の開幕戦、帝京大学×立教大学。6年連続の大学日本一を狙う王者は、磯田泰成、ルーキー尾崎晟也の両WTBで8トライを奪った(CTBは2トライ)。さらにFWは6選手で8トライ。計18トライと攻めまくり、118-5と大勝した。
試合後の会見。岩出雅之監督が、開幕戦前の流大(ながれ・ゆたか)主将の様子を語った。
「丁寧にいこうと、何度も言っていましたね」
まだ暑い。ボールは滑るし、挑戦者の気迫は知っている。だから力ずくで前に出るのではなく、スマートに圧倒しよう。キャプテンとしての初戦。大きな目標に向かうチームの第一歩。背番号9のリーダーが描いた勝利の絵は、綺麗なものだった。
前半52-5。プラン通りではあったけれど、指揮官は物足りなく感じた。
「ハーフタイムに言ったのはブレイクダウンとタックルのことだけ。もっとガツガツいこうや、と」
後半、接点で前に出ようとする意識をさらに強く持った帝京大は、前半の52点を上回る66点を挙げた。それを受けた立教大の遠藤哲ヘッドコーチは、「想像していた以上の接点での圧力でした」。そして、渾身のチャレンジにも落ち着いて攻守で対応する王者に「深みを感じました」と敬意を表した。眞壁貴男主将も「前へ出たときのプレーは通じると思いました」と手応えをつかみながらも、この先のスタンダードとしなければならない体感を、「(帝京は)攻めても守ってもブレイクダウンでの激しさがもの凄かった」と表現した。
「前半はミスを恐れていたところがあったけど、後半はダイナミックにやれた」
主将としての初試合を、ほぼ完璧な内容で終えた流は笑顔を見せた。
「アタックの多い試合でした。我慢強く攻め続けた結果が、このスコアに表われたと思います」
この時期に、ほとんどスキがない。いますぐ大学選手権が始まるなら、すいすいと頂点までのぼっていきそうな帝京大のパフォーマンスだった。