【ラグリパ×リーグワン共同企画】ディビジョン1に勝つ日まで。大の負けず嫌いの固い決意
「ディビジョン1のチームに勝てるまでは、満足できないですね」
日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)の最上太尊は、プレシーズンマッチでプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれても、浮かれることはなかった。周囲から祝福の言葉をもらったが、本人の視線はもっと先に向いている。目指すのは、格上とされる相手を倒すこと。根っからの負けず嫌いは、満足とは無縁のような毎日を過ごしている。
「1対1なら、そんなに差はないと思っています。でも、チームになると、ディビジョン1との差を感じます」
一人ひとりがプレーの選択肢をつくり、その後のアタック、ディフェンスまで組織として連動する。強豪との対戦を通じて見えた差は、個人の能力だけでは埋められないものだった。
トウタイ・ケフ ヘッドコーチも、最上のポテンシャルに期待を寄せる。バックローのどのポジションでもプレーできる柔軟性に加え、フィジカルの強さ、豊富な運動量を生かして働き続けるワークレートを評価している。持ち味を発揮し、チームの勝利に貢献できるか。期待に応えるためにも、さらなる成長が求められる。
中学、高校時代はフィジカルを武器にプレーしてきた。しかし大学では、それだけでは通用しないと指摘された。求められたのは、ボールを持っていないときの動きや、チームのために働く力。地道な取り組みを続け、評価され始めたのは大学3年の秋ごろだったという。個の強さを、チームの力へ。その変化が、いまの最上を形づくっている。
負けず嫌いは、ラグビーに限った話ではない。
「ただのじゃんけんでも、負けると結構ブチギレたりすることもありました。昔は、負けたら泣いちゃうぐらい本当にイヤでした」
幼いころから変わらない勝負へのこだわり。その悔しさを、いまはラグビーの結果へと向けている。
「まずは試合にスタメンで出ること、そして勝利すること。そして、シーズンを通じて勝ち続けることです」
その歩みを語る上で欠かせないのが、須田康夫氏の存在だ。釜石SWのキャプテンを務め、2024-25シーズンまでヘッドコーチとして率いた須田氏は、仙台育英学園高等学校時代に最上を指導した人物でもある。グラウンドでは「鬼」のように厳しかったが、大学時代に食事をともにしたことで、その印象は変わった。いまもクラブ公式ホームページの「憧れの人」に須田氏の名前を挙げるほど、最上にとって特別な存在だ。
「ラグビーへの情熱は、気が狂っているとしか思えないくらい(笑)。そういうところが憧れですね」
釜石SWへの加入を勧めてくれたのも須田氏だった。その縁を力に変え、最上は新たなステージに挑んでいる。
プレシーズンで得た手ごたえも、見えた課題も、すべてはシーズンで結果を残すためにある。目指すのは、スタメンを勝ち取り、チームを勝利に導くこと。そして、ディビジョン1のチームを倒すこと。その日まで、最上太尊は挑み続ける。
(髙橋拓磨)
▼周辺の証言
トウタイ・ケフ ヘッドコーチ
「最上太尊は、本当に将来性のある選手だと思います。バックローの6番、7番、8番と、どのポジションでもプレーできるし、フィジカルも強く、ワークレートの高さでもチームに貢献してくれる。ただ、状況判断やゲームプランを理解して、しっかり実行する部分は、まだ成長が必要です。持っているポテンシャルは大きいので、そこを伸ばしていけば、もっといい選手になれると思います」




