日本代表 2026.09.17

「誰もができるわけではない」。ティエナン・コストリーのハイブリッドへの道。

[ 向 風見也 ]
「誰もができるわけではない」。ティエナン・コストリーのハイブリッドへの道。
WTBとしてプレーしたティエナン・コストリー(撮影:早浪章弘)

 鮮やかだった。

 9月12日、東大阪市花園ラグビー場。ラグビー日本代表のティエナン・コストリーが、自陣中盤から右中間のスペースを駆け上がる。防御をかわし、敵陣22メートルエリアを通過する。追加点をアシストする。

 パシフィック・ネーションズカップ(PNC)準決勝の後半24分のことだ。アメリカ代表を63-14で下したその日、本職と違う役割を担っていた。

 身長192センチ、体重102キロの26歳はFW第3列を主戦場としながら、ナショナルチームではBKのCTBやWTBも任される。この夜は、WTBとして後半17分にピッチに出た。

 昨年11月1日の南アフリカ代表戦(ロンドン・ウェンブリースタジアム/●7-61)、今年7月11日のアイルランド代表戦でもBKに回っている(ニューカッスル・マクドナルドジョーンズスタジアム/●20-36)。いずれもリザーブからの登場だ。

「経験を積んで、(勝手を)覚えて、無意識下での判断力がどんどんよくなってきているかなと。アメリカ代表戦では、南アフリカ代表戦の時より安心して、自信があった」

 本職で激しさと運動量とスピードを売りにする通称「タマ」は、この新たな道をコーチングコーディネーターのニール・ハットリーに打診されたようだ。発案にはエディー・ジョーンズヘッドコーチも携わると知る。

「大変ですけど、誰もができるわけではない。『あなたは両方できる』と思われているのは、嬉しいです」

 2つのポジション群をカバーするタレントは、ハイブリッドと呼ばれる。来年のワールドカップオーストラリア大会では登録枠が限られるとあり、特性の異なる複数のエリアを補える人材は貴重だ。ニュージーランドから来たオーストラリア人は流ちょうな日本語で続ける。

「ただハイブリッドをやるのではなく、ベストなハイブリッドを狙っていきたいです」

 戦術上、FLは大外のBKと似た場所に立つことが多い。コストリーはジョーンズから背中を押される。

「(WTBの場合は)最初の1~2フェーズはWTBを。その後はFWとしてのワイドアタック(外側でのポジショニング)と同じ。何も考えずに自然なプレーをやっていけば大丈夫。…そう言われたので、メンタルのところが落ち着いてわかりやすくなりました」

 所属するコベルコ神戸スティーラーズの起用法については、「スタッフがどう思うかが、一番」。慎ましく述べる。もっとも、どの職場でも頼られるための準備はするつもりだ。空中での補球技術、立ったまま繋ぐオフロードパスやキックの精度を高め続ける。

「オールラウンドの選手として強くなるための練習は、代表でもクラブチームでも取り組んでいます」

 PNCは19日、東京・秩父宮ラグビー場で決勝戦を迎える。

 ファイナリストとなった日本代表の相手は、3連覇を狙うフィジー代表だ。参加チーム中唯一世界ランクで上回る国でもある(日本代表は12位でフィジー代表は9位)。

 個人技に長ける相手を向こうに、コストリーは「オフロード、スピード、フットワークが脅威。(自軍は)トランジション(攻守の切り替え)での横との繋がり(連係)が重要になる。最初の20分で相手を疲れさせる意識でボールをどんどん動かす。相手を疲れさせる」と意気込む。組織と自身の強みを活かし、頂点に立ちたい。

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