トップイースト2026開幕。40メートル爆走モールで横河がクリーンファイターズとの開幕戦を制す
9月13日、今シーズンのトップイーストが開幕した。昨シーズン優勝の丸和MOMOTARO’S成田がリーグワンへ昇格したため、Div1は昨シーズン2位の東京ガスブルーフレイムス、クリーンファイターズ山梨、Div2から昇格の横河武蔵野アトラスターズ、同じく昇格の秋田ノーザンブレッツ、そして明治安田ホーリーズの5チームとなった。
昨年の覇者丸和不在の今シーズン、各チームの仕上がりを確かめるべく、9月13日に開催された横河武蔵野アトラスターズ対クリーンファイターズ山梨の試合を取材した。
実は、両チームは今年の春季トーナメント3位決定戦で対戦している。その時は横河の強烈なディフェンスに山梨攻撃陣が止められ、26-14で横河が勝利している。しかし、山梨は春季トーナメント後にトニシオ・バイフ(前三菱重工ダイナボアーズ相模)、ロトアヘア・アマナキ大洋(前NECグリーンロケッツ東葛)と2人のリーグワンチームからの移籍選手を迎え、春とはまったく違ったチームに仕上げてきている。
果たして新戦力を迎えた山梨か、春に続いて横河のディフェンスがそれを跳ね返すか。13時ちょうどにキックオフの笛が鳴った。

開始早々、さっそく山梨のアマナキ大洋が強烈なハンドオフから飛び込んでトライ、その後山梨は立て続けに3つのトライを挙げ、開始10分で0-17と一気に試合を決めてしまいそうな勢いをみせる。
しかし横河は慌てなかった。22分にはCTB北野太一(天理大)がストラクチャーが崩れた状況から持ち込みまず7-17。圧巻だったのは32分、ハーフウェーライン近くで組んだモールがあれよあれよと進み、なんと40メートルを「爆走」ドライブ。そのまま認定トライを獲得した。
「山梨さんに序盤やられたところまでは予想通り。しかしこちらはモールには自信を持っているので、今日もモールで行こう、と話していました。今までのチームの記録が30メートルだったので今日は新記録になりますね」
会心のプレーを横河の黒須夏樹HCは試合後に振り返る。
このモールで完全に流れを掴んだ横河は、スクラムでも山梨を苦しめる。ノックオンからスクラム、コラプシングでペナルティを獲得してラインアウト、そして横河得意のモールと、山梨は中盤でのほんの小さなミスがあっという間にゴール前のピンチになってしまう。そしてついに前半終了間際、PR四元涼太(法政大)のトライとその後のキックで21-20と横河が逆転を果たす。

ここで少し、横河武蔵野アトラスターズのチームの横顔を紹介しよう。まず「横河電機の企業チームでしょう」と思われがちであるが、実は2016年に地域クラブチームに形態を変えている。横河電機は引き続きチームの最大のスポンサーであり、選手の多くが横河電機グループに所属しているが、横河電機グループ外からも選手を迎え入れている。三鷹という都心に近い地域に練習拠点を構えている点は、勤務先が都内にある社会人選手にとっては理想的な環境だ。
また、チーム名に「武蔵野」の文字が入っているのも、単なる拠点地域を表す以上の意味がある。現在は一般社団法人横河武蔵野スポーツクラブ配下のチームとして、同じく「横河武蔵野」の名を冠する女子ラグビー、男子サッカーチームがある。この3チームがそれぞれに地域密着の活動としてジュニアチームやアカデミーなどの活動をしている。三鷹、武蔵野地域は「横河武蔵野」をトップチームとした体系立てられた地域スポーツの輪が出来上がっている。
横河という企業名を冠しながらも、単なる企業の部活動や企業PRのためのチームではなく、スポーツを通じて企業が地域貢献をおこなうことができる、非常に理想的な体制ではないだろうか。横河武蔵野というチーム名には、そんな思いが込められている。
試合に目を戻すと、後半開始早々に山梨はまたしてもアマナキ大洋の突破から、キニヴワイ・ベイタタ(クイーンビクトリアスクール)が右隅にトライ、21-25とスコアを戻す。こう書くと、山梨の攻撃は外国出身選手が突進する単純なラグビーを想像してしまうかもしれないが、司令塔の清水晶大(関西学院大)の攻撃パターンは多彩で、目まぐるしいパスから何度となく横河ゴール前まで攻め込む。ここに決定力のある外国出身選手がハマれば、かなりの破壊力があるのだが、この試合はゴール前あと5メートルの前進を横河のタックルが許さない。

「ウチはディフェンスのチームなんです。点を取られさえしなければ、理屈の上では負けない。そんな戦い方を今シーズンはしてゆきたい」(黒須HC)
この言葉通り、後半山梨のスコアは結局開始3分の1トライだけに封じ込められた。後半だけで横河が10個のペナルティを奪ったのは、攻めたディフェンスの成果と言っていいだろう。
良いディフェンスが良い攻撃の流れを呼び込むのがラグビーだ。11分にはFL今要(日本大)のトライで横河は再逆転すると、21分、32分とトライを積み上げ、拮抗していたスコアはじわじわと差がつき、最終的に42-25と横河の快勝となった。POMにはFW戦の立役者横河PRの四元涼太が選ばれた。

こうしてトップイーストDiv1の開幕戦は横河が山梨を退ける形で第1節を終えた。同じ日におこなわれた秋田ノーザンブレッツ対東京ガスブルーフレイムスは45-17と東京ガスが快勝している。
ここ数年のトップイースト(およびトップウエスト、キュウシュウもであるが)の選手の顔ぶれをみると、大学リーグでAチームでレギュラーを張っていた選手が当たり前のように名前を連ねる。加えて、リーグワンから移籍してきた選手も増え、競技レベルとファンの熱量は確実に上がってきている。この日も応援旗がたなびき、両チームのグッズを身につけたファンから歓声が上がっていた。
こうした盛り上がりを受けてか、今シーズン11月には武蔵野陸上競技場、えどりく、そして秩父宮と、関東協会も競技内容にふさわしい舞台を用意している。秋田、山梨での開催もあり、シーズンを通して「推し」のチームを見つけて追いかけるのも楽しそうだ。



