コラム 2026.09.07

【ラグリパWest】みんなのために。𠮷岡宏樹 [レッドハリケーンズ大阪/新GM]

[ 鎮 勝也 ]
【ラグリパWest】みんなのために。𠮷岡宏樹 [レッドハリケーンズ大阪/新GM]
ラグビー・リーグワン、ディビジョン2(二部)に属するレッドハリケーンズ大阪でGMについた𠮷岡宏樹さん。来年2月で44歳。現役時代は前身のNTTドコモのLOだった。11年ぶりに現場復帰を要請された。会社の期待度の高さがわかる。クラブハウスのネームボードの前で自分の名前を指す

 渦の外にいた。だからこそチームの改善すべきところが見える。

 𠮷岡宏樹はレッドハリケーンズ大阪に戻って来た。実務トップのGMについた。

 選手引退は2015年。その後の11年はNTTドコモで社業に専念する。この会社は略称<RH大阪>を保有している。

 RH大阪はラグビー・リーグワンのディビジョン2(二部)に属する。
「辞令ですから、行くしかありません」
 常に目じりの下りた笑い顔は変わらない。

 高校時代から物静かな感じだった。
「昔は人前で話すことが苦手でした」
 言い淀みも威圧感も今は消える。現役時は187センチ、98キロのLOだった。

 来年2月で44歳になる。今までひと通りの仕事をこなした。ドコモショップでは携帯を売った。出向先のドコモCS関西の姫路支店では企画や総務に励んだ。

 姫路では<ヴィクトリーナ姫路>のスポンサーとして活動した。このチームは女子バレーボールの国内最高峰、SVリーグに所属する。支援する側の思いも知る。

 その経験から言葉が出る。
「僕たちはスポンサーを背負っています」
 グループや一般企業が入れてくれる練習ジャージーのネームひとつにも感謝がある。

 吉岡の職階は課長である。同格のマネージャーとして田中辰弥と藤田将弘がいる。
「田中は総括、藤田はスポンサー獲得ですね」
 𠮷岡の担当は強化。すみわけがある。

 𠮷岡のNTTドコモへの入社と入部は2005年。当時、チーム名は会社名だった。リーグワンの前身のトップリーグである。所属は二部のトップウエストAだった。

 𠮷岡の出身は大体大。U19やU23の日本代表の肩書を持っていた。
「強化する、ということもありました」
 入社理由は力を入れることと勧誘にあった。

 会社は約束を守る。入部5年目の2009年からプロを獲り、本格的な強化を始めた。
「スタンダードがぐっと上がりました」
 伊藤宏明が入り、翌年、箕内拓郎が来た。

 伊藤はSO、箕内はNO8。日本代表キャップは2と48。箕内が加入した翌2011年度からトップリーグで戦えるようになった。2人は今もコーチとしてチームに残る。

 開幕戦は10月30日。相手はHonda(現・栃木H)だった。19-19 で引き分けた。
「上でできて、嬉しかったですね」
 𠮷岡は先発。花園ラグビー場で戦った。

 引退前の2年は主将もつとめた。最後の2014年度は過去最高の11位だった。
「入替戦に出なくてよかったです」
 選手としては10シーズンを過ごした。

 NTTドコモの前には大体大の4年間がある。GMの下にくるヘッドコーチの松川功は一学年上だった。高校も同じ啓光学園(現・常翔啓光)。意思疎通しやすい。

 𠮷岡の入学年は2001。この年度の大学選手権は38回大会だった。大体大は2回戦敗退も準優勝する早大に54-58と肉薄する。大体大は終盤の10分で4連続トライを挙げた。𠮷岡は初の秩父宮で交替出場を果たす。

「完全アウエーでしたが、ほぼ満員の秩父宮で早稲田ファンからも拍手をもらいました」
 監督の坂田好弘の言葉が残る。
<早稲田には名前がある。ウチには心と魂がある。その通りの試合をしてくれた>

 4年時は主将になった。関西リーグは3位。大学選手権は1回戦で明大に27-31と競り負けた。大体大へ啓光学園から進んだのは、保健・体育の教員免許取得もあった。中高のそれは在学中に取得している。

 進学は強さとストッキングにあった。
「ストッキングの内と外に背番号が入っていて格好いいな、と思いました」
 1年時にはメンバー外ながら全国優勝する。78回大会(1998年度)の決勝は大阪工大高(現・常翔学園)に15-12だった。

 2年からLOでレギュラー。全国大会前日に鎖骨を折る。監督は記虎敏和だった。
「記虎先生に怒られました」
 そのせいか連覇のかかった大会は初戦で長崎南山に12-13で敗れる。3年時は8強戦で埼工大深谷(現・正智深谷)に敗北した。

 競技を始めたのは新生野中に入学後だ。
「4つ上の兄がやっていました」
 𠮷岡は大阪で生まれ、中高大の学びはこの浪速の地だ。RH大阪は大阪市の全24区と連携協定を結ぶ。𠮷岡はRH大阪にふさわしい存在ともいえる。

 そのRH大阪は5月に終わったシーズン、8チーム中6位だった。
「よくなるポテンシャルはあります。ラグビーに対する個々の向き合い方はもっと変えられるはずです」
 𠮷岡は展望を語る。

 その中で山口泰輝の名が挙がる。7人制の日本代表だ。山口に部員たちが合わせたい。そして、フル代表が出れば、ほぼ社員選手で構成されているため、チームの基準は一気に上がる。伊藤や箕内が入った15年ほど前と一緒だ。その方向にもってゆきたい。

 𠮷岡は妻と2人の子どもと楽しみにしているスキーを棚上げする予定だ。
「しばらく行けない。辛抱して」
 スキーとラグビーは時期が重なる。シーズンが開幕する冬季に長期休暇は取れない。𠮷岡も身を切ってラグビーに集中する。

 その2人の子どもたちとは昨シーズン、数回、RH大阪の試合を観戦した。
「赤いチームが得点しない。面白くない」
 子どもは正直だった。子どもも大人もスタジアムに来てくれた人々の目が釘づけとなるようなラグビーが目標でもある。

 𠮷岡は力を込める。
「ドコモが好きです」
 チームや会社、スポンサーの思いは同じ、ディビジョン1への昇格だ。そのためにはリーグ戦で2位以内に入り、入替戦出場がマストだ。𠮷岡はビジネスで磨いた新鮮な感性をもってチームにアプローチを続ける。

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