2月に代表候補入り。筑波大・中森真翔、大学生の代表デビュー組に刺激。
束になって止めた。
8月23日、筑波大ラグビー部が長野・菅平高原で夏合宿最後の試合に挑んでいた。サニアパークのCグラウンドに迎えた東洋大の海外出身ランナーへは、2人、もしくは3人でタックルを浴びせた。
肉弾戦で圧をかける流れで、多くの得点機を手繰り寄せた。ラインアウトとモールが冴え、終盤は相手ボールのラインアウトで好守も披露できた。54-21で快勝した。
「モメンタム(勢い)を出してくる留学生には3人で入ってでも…という意識でした。セットプレーとディフェンスがよかった。ラインアウトのディフェンスは(前半に)『相手の飛ぶところにプレッシャーを』と修正できた」
振り返るのは中森真翔。3年生のFLだ。身長191センチ、体重97キロとサイズに恵まれる。ひとり暮らしをしながら捕食とプロテインの量を意識し、徐々にビルドアップを図ってきた。
一昨季のオフ以降、若手を鍛えるジャパンタレントスコッドプログラム(JTS)に参加。その一環で、23歳以下日本代表としてオーストラリア遠征に出かけた。持ち前のスピードを活かしながら、肉体強化の重要性に気付いた。それ以来、親に仕送りの増額を頼んで食にこだわっているのである。
昨季は秋から、加盟する関東大学対抗戦Aなどで存在感を示した。おかげでシーズン終了後の今年2月には、日本代表候補に名を連ねた。まもなくJTSにも再び参戦。前年度に続き、正代表も教えるエディー・ジョーンズヘッドコーチの薫陶を受けた。
練習の質が悪ければその場で打ち切りを命じられる環境のもと、4月のオーストラリア遠征まで走り抜けた。
「集中力がないな、というところで『切り上げよう』と。チーム内では『エディーさんに言われる前に自分たちから声を出していこう』と、いい意識が生まれました」
初夏はリカバリーに充てた。JTSの折に痛めていたハムストリングスをかばいながら最前線に立っていた、膝に痛みが出やすくなっていたのだ。腰を据えての治療が必要だった。
本来であれば5、6月、代表予備軍のJAPAN XVのキャンプに臨めそうでもあった。都内の国立スポーツ科学センターでのリハビリが許され、活動期間中の復帰を目指した。
しかし、思い通りにはならなかった。
「怪我で(チャレンジ)できなかったのが悔しくて…」
かたや今年のJTSからJAPAN XVに昇格し、そのまま代表入りを果たした大学生が3名いた。そのうち明大4年でSOの伊藤龍之介、関西学大4年でPRの大塚壮二郎はテストマッチに出ていた。
かねて2027年のワールドカップオーストラリア大会出場を狙っていた中森は、同世代組が台頭するなか己と向き合う。
「怪我をしてしまったことはしょうがない。切り替えて、自分のコンディションと向き合って、しっかり治療、栄養(の管理)をして、自分をアピールできれば」
いまは筑波大で進歩を証明する日々だ。最近では持ち場のラインアウトでサインを出す役目も任され、「去年までは自分のことだけ考えておけばよかったところ、今年はチームのことも考えながら(できる)」。9月13日、北海道・月寒ラグビー場で立大と対抗戦Aの初戦をおこなう。



