ダイナボアーズに入りたかった。彫刻の肉体、竹澤正祥が移籍で決意。
相思相愛に至った。
横浜キヤノンイーグルスにいた竹澤正祥が移籍を検討したのは、今年の春頃だったか。
その時おこなわれていたジャパンラグビーリーグワンの2025年度の出場機会は、3月いっぱいで計6度。それは5月のレギュラーシーズン終了時まで変わらなかった。一時は主戦級だっただけに、ゲームタイムを欲した。
新天地を求めたところ、声をかけてきたひとつが三菱重工相模原ダイナボアーズだった。直近の順位でイーグルスを2つ下回る12チーム中最下位。再興を図っていた。
ダイナボアーズの沼田一樹チームディレクターは、竹澤が学生だった頃から注目してきた。一時、一般社員を務めながらクラブの採用を手伝っており、日大屈指のランナーとして活躍していた竹澤に目を奪われたのだ。その後、竹澤は日野ドルフィンズに入り、‘21年加入のイーグルスで頭角を現していた。
ダイナボアーズが送りたくて送ったラブコールは、竹澤にとって渡りに船だった。
この人にとって、ダイナボアーズはシンパシーを覚える対戦チームだったのだ。
ダイナボアーズは下部から1部に上がった‘22年度、粘り強い防御で上位陣を苦しめていた。その印象もあってか、トライゲッターにして好タックラーの竹澤は「ディフェンスを得意としているので、そこでチームに貢献できる」と前向きに見ていた。
まさに相思相愛。
「自分に合っているなと。他の選択肢を見ずに(決断できた)」
戦った感触も覚えている。イーグルスは‘23年度まで2季連続4強入りも、順位でやや下回るダイナボアーズには苦しめられてきた。‘24年度の第15節では28-38で惨敗。痛い目にも遭った。
「毎回、簡単に勝てない、粘り強い、本当にいいチームという印象でした」
話をしたのは8月21日。新チームを始動させた週の公開練習日後、他の移籍加入者とともに会見した。
身長176センチ、体重86キロの31歳。タッチライン際のWTBを主戦場に、人垣を勢いよく破ったり、味方のキックを追いかけて捕球役に突き刺さったり。
地元の群馬にある明和県央高では、身体をぶつけ合うFLを務めていた。ずっとフィジカリティに自信がある。新天地でも力強くありたい。
意識は周りに伝わる。
肌をつまんで体内の筋量や脂肪の割合を測る「スキンフォールド」の数値が他選手よりよかったこと、重いウェイトでスクワットをしていたことなどから、同僚が驚いている。前主将でSHの岩村昴太の談。
「ウェイトの測定でも数値が高く、プレッシャーをかけてくれています」
さながら彫刻の肉体を持つその人は、「そこは負けたくないので」とし、オフの節制でコンディションを保ったことを控えめに誇った。
「アスリートとして、大事なことなので」
イーグルス時代に自身を引っ張り上げてくれた沢木敬介元監督は、約1年間のブランクを経て今季から現場に戻る。もともと指導歴のあった東京サントリーサンゴリアスの指揮を執る。
恩師との対戦も、仲間の多いイーグルスとの「神奈川ダービー」も楽しみだと竹澤は微笑む。
「まずはダイナボアーズのことを学び、自分がどういう人間であるかを皆に伝え、強みであるコンタクトをアピールする」




