「自分次第」でトップに。朝鮮大・李智寿が日本代表定着に挑む
ラグビー日本代表は6月13日より宮崎合宿を始めており、27日にはJAPAN XV名義でマオリ・オールブラックスとぶつかる。愛知・パロマ瑞穂スタジアムで、非代表チームにあって有数の実力者の群れと対峙する。
JAPAN XVのスコッドは、ニール・ハットリーヘッドコーチ代行が正代表のエディー・ジョーンズヘッドコーチらと「本当にたくさん議論をした」ことで決まった。直近までスーパーラグビーに参戦した原田衛が先発HOとゲーム主将を兼ねる一方、今後のテストマッチデビューが期待される伊藤龍之介が司令塔のSOで先発する。
常連組と、下部組織でモニタリングしてきた若手が配合されたスコッドにあって、身体をぶつけあうCTBではアウトサイドにワールドカップ経験者のディラン・ライリーが、インサイドにはノンキャップで朝鮮大4年の李智寿が入る。
身長180センチ、体重82キロの李は、きれとパスワークが映える。
代表の下部組織に呼ばれ、徐々に階段をのぼってきた。20歳以下日本代表、23歳以下日本代表、さらには日本選抜とも呼ばれるJAPAN XVとステップアップし、13日からの宮崎合宿に参加していた。
「レベルの高い選手たちと一緒にできて、いつもと違うハードな環境。自分の成長にめっちゃ繋がるいい機会です」
少年時代に東大阪朝鮮中級学校、大阪朝鮮高級学校へ通っていた本人がこう話したのは、22日の練習場でのことだ。
「エディーさんがやろうとしている『超速ラグビー』という部分(動き方、コンセプト)は(年代別代表と)変わらないですけど、(参加選手の)1こ、1この接点でのコンタクト(の強さ)、スキル(の高さ)はレベルアップしている感じがします」
実戦練習で舌を巻いた相手は、同じCTBの廣瀬雄也である。
昨年代表に初選出されたクボタスピアーズ船橋・東京ベイ所属の25歳は、身長182センチ、体重94キロと自身よりも大柄にして技術が高いと感じた。事実、実戦形式のセッションのさなか、流れのなかでのロングキックが光っていた。
大卒後にプロ選手としてリーグワンに挑む予定の李は、普段、朝鮮大の一員として関東大学リーグ戦2部に参戦。日本国内でも頂点と距離のあるクラブにいながら、目下のポジションに辿り着いた。
高卒時には他の強豪大への進む選択肢もあったようだが、己のルーツを大切にする思いでいまの道を歩む。
「幼い頃から朝鮮学校で育ってきて、在日同胞の温かさを感じてきました。朝鮮大でプレーすることによって、その方に勇気を与えるようになって恩返しがしたいと思い、志願しました」
下部リーグにいても、心がけひとつで国内トップレベルの選手になれると信じてきた。
自身が高校生だった2020年度(’21年)の旧トップリーグで、朝鮮大OBの金秀隆(前東芝ブレイブルーパス東京)がスピアーズのFBとして新人賞に輝いた事実にも背中を押された。
上京後の3年間、全体練習の1時間前にグラウンドへ出て自主トレーニングを重ねてきた。両親からの仕送りは、サイズアップのための食事に割いた。
「やっぱり、環境のせいにしたくないな…って。やるか、やらないかは自分次第だと思っているので、自分でできることをやりました」
現在、代表合宿へは「トレーニングスコッド」の扱いで参加。正代表へ昇格するかも「自分次第」だと己に誓う。




