トップウエスト覇者の中部電力がトップイースト春季トーナメントに参戦。クリーンファイターズ山梨との熱戦制し決勝へ
6月14日、社会人トップイースト春季トーナメントのベスト4による準決勝がおこなわれ、中部電力はクリーンファイターズ山梨と対戦した。
ちょっと社会人ラグビーに詳しい読者ならば「オヤ?」と思うだろう。中部電力はトップウエストのチームなのだが、特例でトップイーストのこの大会に参加している。お互いにとって良い経験にもなるし、東日本のファンにとってはあまりなじみのないウエストの選手のプレーをみられるのは嬉しい限りだ。
ただ、中部電力としてはもう少し思いが詰まった大会参加のようだ。毎年社会人リーグの大会をしめくくる全国社会人トーナメント(前身である3地域順位決定戦を含む)では、2022年の大会が始まって以来全ての大会でトップイーストが優勝している。
「昨年もトップイーストの上位チームには勝てなかった。今年こそはという中でシーズンの早い段階からその戦力に触れておきたい。」(中部電力 紀伊皓太ヘッドコーチ)という明確な年間の目標に向けた重要な大会でもあるというわけだ。
試合の方を見てみよう。天気の良い日には富士山も見える南アルプス市御勅使南ラグビー場、この日はやや強い風が吹き、中部電力は前半風上に立つ。敵陣深く攻め込んだ前半13分CTB長野成貴(帝京大)がディフェンスを突き破って先制トライ。もう一人のCTB井上正規(福岡大)と共に両CTBの前に出る強いプレーはこの後も試合の随所で見られた。そして試合はここから、取ったり取られたりのシーソーゲームとなる。
まずは山梨がNo8ネマニ・スミス(山梨学院大)、SO木下元太(山梨学院大)の連続トライで勝ち越し。すると今度は中部電力WTB林哲平(明治大)がインゴールでのキックチェイスに競り勝って同点。しかし今度は山梨WTBのウエストブルック・アレックス慧南(専修大)がディフェンスをスピードで振り切って再度勝ち越し。

こうして19-12と前半山梨リードで折り返すかと思われたが、前半終了間際に山梨ゴールに執拗に迫った末、中部電力FL奥平都太郎(同志社大)がトライ。19-19同点として前半を終える。こうした「ここぞ」というシーンでミスなくしっかり得点してくる中部電力はさすがに強豪ひしめくトップウエスト1位の実力者である。
そもそもトップウエストとはどんなリーグなのか。中部電力、大阪ガス、大阪府警など、大学1部リーグから加入する選手を多く抱える強豪チームを筆頭に22チームが3部に分かれている。いずれもフルタイムの仕事をしながらプレーする「実業団リーグ」だ。
その雰囲気を紀伊HCに尋ねてみると、こう返ってきた。
「トップウエストは、体の大きい選手が全体に多いです。そして近年は下位のチームでもさほど上位と差がないことも特徴でしょう。外国人(プロ選手)がいるチームはなく、みんな働きながらやっています。」
中部電力も選手たちが平日はフルタイムで営業や電力施設関連などの責任ある仕事に追われるが、それでも平日は2日、土日も1日は練習で集まる。筋トレを終えてグラウンドを後にするのは夜11時を回ることもあるという。
電力会社といえば、社会インフラを担う企業だ。その企業のロゴを胸に戦う以上、信頼を傷つけるようなプレーはできない。この試合も80分間、選手たちはその覚悟と日頃のハードワークの成果を示し続けた。
後半になると、風上に立った山梨はキックを多用してくる。FB具志堅竣祐(山梨学院大)が勝ち越しのPGを決めるが、一方の中部電力は我慢のラグビーを続ける。

「今日の試合はブレイクダウンにこだわってやってきました。2人目の寄りだったり、ファーストキャリアの寝かただったりとか、そういう細かいところをこだわって準備してきました。」
試合後キャプテンの桑田陽介(早稲田大)はそう振り返る。簡単には相手にボールを渡さない。そうして繋いだ結果、後半20分SO津田貫汰(中央大)が左タッチラインギリギリにトライして22-24と逆転。しかし山梨も直後にFB具志堅がまたもPGを決め、25-24。試合の流れはどちらにも傾かない。
そのまま時計は38分を過ぎた。さすがにこれまでか。そんな雰囲気がスタジアムに漂い始める時間帯、しかし中部電力ベンチ、そして芝生の上に立つ選手たちは違っていた。ペナルティから得たモールを一気に押し込む。この試合これまでラインアウトのスチール、スクラムと、セットプレーで随所に手応えのあるプレーをしてきたFW陣が、最後の最後で爆発した。最後は途中出場のHO紀伊遼平(明治大)が押さえこんだ。キックも決まり31-25と逆転。その後互いにPGを1本づつ決めて最終スコアは34-28となったが、このモールによるトライが決勝点となった。

前半終了間際の同点トライ、後半の逆転トライ。ここぞというところで点を取り切れた中部電力。一方7対11と反則数は相手より少なかった山梨はよく攻め、よく守ったと言えるが、最後の詰めのところで悔いが残る結果となった。
熱戦の続いたトップイースト春季大会も6月28日が決勝。東京ガスブルーフレイムスと東京ガス大森グラウンドで雌雄を決する。敗れた山梨も同じく28日、横河武蔵野アトラスターズとの3位決定戦を行う。


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