各国代表 2026.04.18

女子ラグビーの熱狂を生み出す。女子フランス代表がシックスネーションズ第2週ウエールズ戦のメンバーを発表

[ 福本美由紀 ]
女子ラグビーの熱狂を生み出す。女子フランス代表がシックスネーションズ第2週ウエールズ戦のメンバーを発表
イタリア戦の前におこなわれたセレモニー。女子フランスラグビーの先駆者たちの功績が讃えられた(Photo/Getty Images)

 昨夏のW杯開幕戦で行われた前回のイタリア戦は、24-0で勝利したものの、内容は精彩を欠くものであった。しかし、今回の対戦では40-7と圧勝し、新体制のコーチ陣が示す方向に確信を持たせる結果となった。

 序盤は硬さが見られ、ミスも目立ち、なかなか得点に結びつけることができずにいた。それでも接点の攻防で上回り、守備でも隙を与えず、5-0で前半を折り返す。後半は、ブレイクダウンでのプレーを修正し、パスの精度を向上させたことで、長いフェーズでもボールを保持し、継続した攻撃が可能となった。5トライを追加し、78分に1トライを許したものの、ボーナスポイントを獲得し、新体制での大会初戦を理想的な形で締めくくった。

 この試合には、1982年に史上初となる国際試合をオランダと戦った女子フランス代表の先駆者たちが招待され、その功績が称えられた。ユトレヒトで開催されたその一戦で、フランスは4-0で勝利を収め、レ・ブルーの長く輝かしい歴史の幕を開けた。しかし、その船出は決して平坦なものではなかった。

 当時、彼女たちはフランスラグビー協会から正式な認可を受けておらず、遠征費用もすべて自力で工面しなければならなかった。彼女たちが置かれていた境遇を象徴するのが、当時の真っ白なジャージーである。そこには、男子代表にのみ許されていた象徴「ガリアの雄鶏」のエンブレムは刻まれていなかった。

 しかし、今回の式典で彼女たちは、雄鶏の紋章が入った白いジャージを身に纏い、スタッド・デ・ザルプのピッチに姿を現した。観客の大きな声援に応えた後、ピッチ中央で現役選手たちの背中を見守りながら、共にフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」を斉唱した。

 これらレジェンドたちには、後日「青少年・スポーツ功労章」が授与される。マリーナ・フェラーリスポーツ大臣は、「この勲章は、フランスにおけるスポーツの普及と発展に献身的に尽くした人々を称えるためのもの。彼女たちはその栄誉にまさにふさわしい」と、その意義を強調した。

 一方、女子フランス代表のオフィシャルアンバサダーであり、国内1部リーグ「エリート1」の冠スポンサーも務めるAXAフランスが、大会開幕に合わせて公開したCMが話題を呼んでいる。3分間にわたるこのショートムービーは、女子ラグビーの歴史を讃え、普及を後押しするパワフルなメッセージを発信している。

 動画は、1979年の男性たちによる会議の場面から始まる。「1979年:我々の5カ国対抗は?」という見出しのスポーツ紙を手にした男性が、出席者に声をかける。

「諸君、我々の誇り高きスポーツを、またしても愚かな流行から守らねばならん時が来た。最初はテニス、次はサッカー、そして今度は女性たちがラグビーをやりたいと言い出した」「一体誰が、女がラグビーをする姿に興味を持つというんだ?」「全くだ。そもそも、彼女たちにルールを理解できる能力があることが前提だがな(笑)」「とにかく、そんなことが決して起きないよう、今のうちに手を打つためのアイデアを出し合おうではないか」「この崇高なスポーツが、いつか女たちによってプレーされる日が来るなんて……想像するだけで恐ろしい」。

 動画ではあえて時代遅れの女性蔑視的な発言を並べることで、かつて女子ラグビーが晒されてきた根深い偏見を浮き彫りにしている。

「女子用の更衣室を作らなければいい。更衣室がなければ着替えもできない」「着替えができなければ、ラグビーもできない(笑)。ラグビーはさせんぞ!」「プロの身分を与えないというのはどうだ? 生活のために、他に仕事を持たざるを得ないようにする」「それでも諦めないなら、恐怖を植え付けるんだ。怪我、それに血だ。女は血を怖がるものだからな」「ボディシェイミング(体型批判)も忘れるな」。

 女子ラグビーを取り巻く凄絶な障害が列挙されるが、映像の中の選手たちは、それらを次々と乗り越え、壁を打ち破っていく。

「諸君、私は我々を誇りに思う。これだけ手を打てば、この美しいスポーツが『女のスポーツ』になる日など、明日になっても来やしないだろうよ」。議長らしき男性がそう言って安堵した瞬間、会議室の壁を突き破って女子選手たちが駆け抜けていく。そして「何も女子ラグビーを止めることはできない」という力強いメッセージが、画面に突きつけられる。

 AXAフランスのジェネラル・ディレクター、マチュー・ゴダール氏は、プレスリリースの中で次のように述べている。

「フランスにおける女子ラグビー界全体の最初のパートナーとなるにあたり、私たちは明確な選択をしました。それは、進化を続け、人々にインスピレーションを与え、社会の視線を変革していくこの競技を、長期的に支援していくということです。フランスラグビー協会や全国各地のクラブと共に、最年少の登録選手から代表選手に至るまで、すべての女子選手が成長するための手段を手にし、フランスのスポーツ界において『彼女たちにふさわしい場所』を勝ち取れるようサポートしたいと考えている」

 AXAは映像の公開と並行して、女子ラグビーの発展を支えるための具体的な施策を複数展開している。その筆頭が「ピッチの女性たち(Femmes de terrain)」プログラムだ。このプログラムの一環で、2026-2027年シーズンには50のアマチュアクラブへ用具提供が行われる。これは、競技の基礎が築かれる日々の現場を直接支えようとする試みである。メディアでの露出と具体的なアクションを組み合わせることで、企業としての主張と真摯な取り組みを合致させながら、支援を推し進めている。

「何も女子ラグビーを止めることはできない(RIEN N’ARRÊTE LE RUGBY FEMININ)」

 ただ、いくら絶大なサポートがあっても、代表チームが勝たなければ大きな熱狂は生まれにくい。「勝つしかない」とフランソワ・ラティエHCが語る通り、チームはウエールズに勝利を求めて乗り込む。

 イタリア戦で膝を負傷したCTB/WTBのジョアンナ・グリゼに代わり、先週の途中出場で初キャップを獲得したオーバンヌ・ルッセ(22歳)が、今節は13番を背負う。

「オーバンヌは非常にテクニックに優れた若手選手です。長身を活かし、タックルを受けながらも腕を伸ばしてパスを繋ぎ、周囲を活かす能力を持っている。左右どちらへも精度の高いパスを出すことができ、『第2の10番』の役割もこなすことができます。守備も非常に堅実です。彼女はU20フランス代表やアカデミーで育成された世代の一人であり、まさに今日のような舞台に立つために準備されてきた選手と言えるでしょう」とラティエHCは評している。

 また、負傷から復帰したテアニ・フェレウがリザーブに名を連ねた。昨夏のW杯ではNO8として起用されていた彼女だが、ラティエHCは次のように述べている。

「彼女自身、自分のことをCTBだと考えています。選手がどのポジションでプレーしたいかという意思を持っていることは重要です。我々は中盤にさらなる突破力と層の厚さを求めており、彼女はディフェンスを打ち破るフィジカルとスピードを兼ね備えています。彼女の可能性をさらに引き出していくのはこれからです。怪我から復帰したばかりで、所属のグルノーブルでもまだ1試合に出場しただけですが、彼女の『前に出る力』は誰もが認めるところです」

 テアニ・フェレウをベンチに置くことで、状況に応じてバックローとして投入することも可能となる。そのため、今節のベンチメンバーはFW5名、BK3名という構成をとっているが、指揮官は「これは隠し『6-2(FW6名、BK2名)』ですよ」と明かした。

 対戦相手のウエールズを、非常にフィジカルの厚みがあるチームと分析している。

「ベンチを『6-2』の構成にし、よりフィジカルの強度を高めています。守備の陣形もしっかり整っています。ディフェンスコーチが変わったようですが、明らかに以前より向上しています。最近は勝利に恵まれていませんが、コーチングは優れています。ヘッドコーチはイングランドの女子リーグで3連覇を成し遂げた実績がある人物です。このチームが力をつけてきており、勝利という目標に刻一刻と近づいているのは間違いない」

 そう警戒を強める指揮官は、選手たちに次のように説いている。

「『ウエールズがついに本領を発揮して大金星を挙げる、その相手に我々がなってはならない』と伝えています。この試合には並々ならぬ真剣さで臨んでいます。少なくとも序盤は激しく揺さぶられる展開になるだろうが、そこをしっかりと抑え込む必要があると考えています」

4月18日(土) 日本時間23時35分キックオフ
フランス代表 ウエールズ戦メンバー

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