『ラグビー わんだほー!』&ラグマガコラボ企画 “センバツ”の魅力を語ろう!
「その年の勢力図がここで決まる」といわれる全国高校選抜大会が、いよいよ3月25日に開幕します。ここではJ SPORTSの人気ラグビー情報番組、『ラグビー わんだほー!』とのコラボ企画として、浅野杏奈さん、村上晃一さん、谷口廣明さんのおなじみの3人に、高校ラグビーの魅力や全国選抜大会の見どころをたっぷりと語ってもらいました。なお大会の模様は、J SPORTSオンデマンドで全試合ライブ配信されます。出場32校のさまざまな情報を掲載した本日3月25日発売のラグビーマガジン5月号の別冊付録、『ラグマガ完全ガイド』とともに、高校ラグビー春の陣を存分に楽しみましょう!
――花園の熱闘から2か月が経ち、全国高校選抜大会が3月25日に開幕します。まずはみなさんの選抜大会の印象から教えてください。
谷口 2月、3月はまだ昨冬の花園の残像が残っているので、そこに出ていた選手たちの姿をイメージできますよね。彼らがこの1、2か月でどう成長したのかとか、あの子がキャプテンになったのかとか、そういう見方をできるのが選抜の楽しさだと思います。時には「この子がキャプテンになったんだ!」みたいな発見もあったりする。
浅野 花園が1月7日まであったのに、本当に早いなと感じますね。そこから短期間でどうやってチームを引き継いで、この時期の大会に臨んでくるのか。この大会を見ることで今シーズンの力が明らかになって、そこからいろんな大会を経て、花園につながっていく。その一本のストーリーの最初ですから、どう考えても大切ですよね。今年の力関係を占う意味で、大注目の大会だと思います。
村上 花園に出たチームにとっては、新チームが発足して短い期間で臨む大会になります。一方花園に出られなかったチームは、昨年の11月くらいからひと足先にスタートしていてここに臨んでくる。そうした期間の差があって、それが結果に表れやすいというのも選抜大会の特徴だと思います。また全都道府県ではなく全国9ブロックの代表校が出てくるので、同じ県から2校出てくることもある。エリアの代表によって争われるというおもしろさもあります。実行委員会推薦枠も花園にはない魅力ですよね。今回は熊谷と神戸という県立の伝統校が出てきますが、神戸は創部100周年の節目。どんなプレーを見せてくれるか楽しみです。
――今回の出場校リストをご覧になっての印象はいかがですか。
谷口 やはり推薦枠で出る熊谷と神戸が気になります。それぞれの地域の伝統ある公立校で、そのチームカラーをここで知ることができる。実況する側としてはこういうことも選抜大会の楽しみですし、どんなラグビーをするんだろう、と真っ先に気になりました。すごく洗練されたプレーを見せるんじゃないかとか、逆にメチャクチャガツガツくるのかなとか。
村上 東海大大阪仰星が2大会ぶり、報徳学園は3大会ぶりというのが意外ですよね。近畿大会は毎年すごく激戦で、そこで強豪同士がぶつかって初戦で負けてしまうと、選抜大会に出られなくなってしまう。ここで全国レベルのチームと戦うことで冬につながる部分も多いので、今回出場できたことは大きいと思います。関東では早稲田実が東海大相模に勝って5大会ぶりの出場を果たしました。「あそこに勝って出てきたのか」と考えると、選抜大会でより見たくなります。
浅野 11大会ぶりに出場の静岡聖光学院のようにすごく久しぶりに出てきたチームもあって、どんな歩みでこの大会にたどり着いたのかとか、どんな準備で挑んでくるのかということも気になります。また村上さんがおっしゃったように、都道府県ではなくブロックの代表として出てくるのはおもしろいとおもいました。その年どのブロックが強いかもわかるわけですよね。
谷口 近畿から出てくるのはホント大変ですよね。激戦ですから。
浅野 花園準優勝の京都成章がいないですもんね。
村上 今回の出場校を見ても、全国制覇の経験がある学校が多い。大阪桐蔭、京都工学院、東海大大阪仰星、常翔学園。報徳学園と御所実業も準優勝している。みんなファイナリストです。やっぱり近畿すごいな。
――そうしてブロック大会を勝ち上がってきたチームばかりなので強豪校がずらりと並んでいますし、初戦から好カードが目白押しというのも、選抜大会の特徴です。
村上 みんな各地域で関門をくぐり抜けていますから。さらにこの時期は新チームが発足したばかりでそこまで大きな差もないので、またおもしろいですよね。
谷口 推薦枠以外では、東北の聖光学院が初出場。横浜キヤノンイーグルスでプレーしていた元日本代表の宇佐美和彦さんが監督になったチームですよね。着実に力をつけてきているのだろうなと思います。
――ブロック大会の結果を見ると、関東大会は雪の影響で決勝ができませんでしたが、桐蔭学園が今年も強さを見せました。
村上 27回目の大会で23大会連続出場ってすごい。ちょうど桐蔭学園が全国でも強くなってきた時期に選抜大会が始まって、ずっと強いということですよね。藤原秀之監督が就任した年から出続けている。入ってくる選手たちの意識も最初から高いから、いいサイクルができているのだと思います。
浅野 毎年選手が育つカルチャーを作り上げたわけですよね。藤原先生、やっぱりすごい。先輩たちの背中を花園で見ていたら、自分たちも、となりますもんね。
――関西勢も実力校ぞろいです。京都工学院と報徳学園は花園に出られず1か月早くスタートしているので、そのぶん完成度も高い。
谷口 強豪校はこの春の選抜大会に始まり、夏のセブンズ、冬の花園と、3つ全国大会を視野に入れてチームづくりをするわけですよね。その1年の流れの中でひと足先にスタートできているのは大きい。
浅野 東海大阪仰星の湯浅大智監督が、去年は近畿大会の初戦で負けて選抜大会に出られなかったのが、年間のチームづくりにおいて痛かったとおっしゃっていたのが印象的でした。特に優勝を狙っている学校にとっては影響が大きいんだな、と感じました。
谷口 ここを逃すと、全国レベルの相手と真剣勝負をやる機会を失ってしまうから。
村上 各チームとも選抜大会を戦うことで全国的な立ち位置を実感して、冬までに何を伸ばさなければいけないかが明らかになる。そういう意味でも重要な大会です。
浅野 ここで悔しい思いをしたチームが、その悔しさを糧に成長するということもありそうですよね。
村上 特に優勝を経験しているチームは、勝っても負けてもここで何を持ち帰るか、というのを大切にしているように感じます。この大会での対戦が、冬の花園の布石になったりすることもあるので。
浅野 高校ラグビーの1年のストーリーで考えると、ここが開会式みたいなところもあるじゃないですか。選抜大会を踏まえた上で冬の花園を見て、「あの時の試合がここにつながっていたのか!」みたいなことを私もいいたい(笑)。きっと今までの私は、ドラマを見ずに劇場版を見に行っていたようなものだと思うんです。でも選抜大会を見れば、伏線をしっかり理解した上で、花園でそれを回収できる。
――リーグワン、大学ラグビーなどと比較して、高校ラグビーならではのおもしろさを感じる部分はありますか。
谷口 プレーのレベルについてはこの10年ほどで本当に大きく上がりましたよね。一方で最近はみんな洗練されてしまって、キャラクターが際立っている選手が少なくなったようにも感じます。高校時代にヤンチャだった子が、カテゴリーが上がっていくにつれて大人になっていくのを見たりするのも、ファンの一つの楽しみですよね。そういう選手もぜひ出てきてほしいなと個人的には思います。
村上 指導者の色がすごく出る。気合い入っている先生のチームはやっぱり気合が入っていたり(笑)。そういう指導者と選手の絆を感じるのも、高校ラグビーならではですよね。そこに泣けてきたりするシーンが多い。
浅野 みんなちゃんと学生で、ちゃんと先生というのが、あらためて考えるとおもしろいですよね。グラウンドを見ているとすごいプレーをしたり、名将! みたいな雰囲気があったりするけど、ラグビーを離れれば生徒であり教師になる。そのギャップが、大学生よりさらに大きいような気がします。学部が分かれているわけでもないので、より近い距離感で部活をやっている感じがする。その絆とか距離の近さにグッとくるのは、高校生という世代だからなんだろうなと思います。
村上 普段は普通の高校生なのに、試合になると急に大人になるギャップがおもしろい。
谷口 そういう意味で僕は、多少若気の至りがあるくらいでいいと思う。
浅野 大人になって振り返ると恥ずかしくなるようなことも、高校生だからできる、みたいなところがありますよね。でもそれが思い出になるし、歩みの軌跡ですから。
村上 あの年代でしか感じないことがある。あそこまで純粋な気持ちではできなくなるから。あとは、キャプテンになった途端に急に立派な人間になったり(笑)。
――そんな高校ラグビーの魅力が詰まった全国高校選抜大会の模様は、J SPORTSオンデマンドで全試合配信されますし、「ラグビー わんだほー!」でも取り上げられると思います。ぜひみなさんから、出場する選手たちにメッセージをお願いします。
谷口 全国大会ですから。失敗を恐れず、思い切って、自分のキャラクターを前面に押し出してやっていただきたいと思います。
村上 高校時代は2度と戻りません。悔いが残らないよう、全力でプレーしてほしいと思います。
浅野 もちろん結果は大事だと思いますが、それ以上にどんなプレーができたかとか、どんな風に楽しめたかが大事だと思います。自分たちでこの大会に出場する権利を勝ち取ったわけですし、かけてきた時間は嘘をつかないと思うので、それを信じて全力でプレーしてほしいです。



