「ガツガツ」「ガンガン」。日本代表・竹内柊平が移籍先サンゴリアスで持ち味発揮。
始まる前は「もう、めちゃくちゃ楽しみです。緊張もめっちゃしています」。終わってみてもこの調子だ。
「勝った嬉しさ半分。あとはほっとしたというか…。すごい緊張していたので」
ラグビー日本代表24キャップの竹内柊平は、12月13日、東京サントリーサンゴリアスでの移籍後初の公式戦を勝利で飾った。東京・秩父宮ラグビー場での国内リーグワン1部・初戦で、リコーブラックラムズ東京を29-15で制した。
前年度の戦績は1勝1敗で、順位はひとつ下回る7位だった相手とのクロスゲームへ、右PRで先発の28歳はこう意気込んでいた。
「フィジカルの部分は、僕がリードできるところ。もうお客さんじゃない。主体的に行こうと思っています。サントリーの竹内として色んな方に自分たちのラグビーを見せられることにわくわくしています」
持ち味を発揮した。クラブのお家芸たる連続フェーズのさなか、身長183センチ、体重115キロの体躯で何度もゲインラインにチャレンジした。パスコースへの鋭角の駆け込み、タックラーとぶつかった瞬間の身体の回旋が際立った。
「ガツガツ行くのが僕の強みなので、それを全面に打ち出していこうと思っていました」
得点に絡んだのは前半32分だ。敵陣ゴール前左でペナルティーキックを得るや、速攻を仕掛けたSHの流大副将からボールをもらう。勢いよくクラッシュ。まもなくNO8のテビタ・タタフがフィニッシュするなどし、7-8と迫った。
「ナギー(流)さんをずっと呼んでいました。(球を)くれて嬉しかったです」
直後の攻防では一連の流れのなかで3つのタックルを放った。守りでも爪痕を残した。
本人は見せ場のスクラムでもっと圧倒したかったと反省も、交代する後半20分までに12-15と追い上げる下地を作ったのは確か。終盤にブラックラムズの規律が乱れたのもあり、サンゴリアスが白星を掴んだ。
殊勲の背番号3は、在籍していた浦安D-Rocksを昨季限りで退団。当初はフランスのトップ14行きを目指し、今年7月までに交渉が成立しなかったのを受けていまの場所にいる。旧トップリーグ時代に5度日本一となったサンゴリアスは、竹内が国内移籍する場合にもっとも行きたかったクラブだ。
今年11月は代表活動で日本を離れた通称「TK」だが、新天地での限られたアピール機会を最大活用。さっそくレギュラーとなった。
「チーム全体からリスペクトを得るために、ひとつひとつの練習を全力でやり、戦術理解に時間を割きました。コミュニケーションを取るため、色々な人と喋りました。僕、意外とシャイなので時間はかかりましたが、徐々になじめてきている」
集団に溶け込むにあたっては、同じポジションで代表歴のある垣永真之介、代表で一緒だった中野将伍らにも助けられたという。スクラムでは青木佑輔アシスタントコーチのもと、一枚岩になりやすかった。
「青さんがずっとコーチングしていて、その中で(既存の選手は)長年組んでいる。そこへ僕がポンと入っても違和感なく組めます。コネクションが強い」
昨年からエディー・ジョーンズヘッドコーチが率いるジャパンにあって、不動の右PRの座を確立しつつある。直近の遠征では、ハードなセッションと上位国のバトルに身を浸した。帰国したいまも努力を止めない。
「ガンガン鍛えます。シーズン中も成長を止めたくないので。僕の場合、満足しちゃったら衰退する。驕らない。過信しない。過信しないために自信をつける。これがポリシーです。一番トレーニングをしているから一番強いという状況を作りたい」
20日の第2節(東京・味の素スタジアム/対トヨタヴェルブリッツ)以降へは、ひとりのチームマンとして「もっとエフォート(努力)できる。何回か返された(突進しながら後退した)シーンがあって。それは(パス交換の)テンポ、タイミングが(仲間と)合っていなかったから(勢いをつけられなかった)。もっと(周りに)アジャストすれば、合ってくる」。いまが頑張り時と心得る。




