ヴェルブリッツ奥井章仁、日本代表復帰へ「ブレイクダウンは武器にしないと」
もともとの得意技がもっと得意になっているかもしれない。
今年ラグビー日本代表デビューを飾った24歳の奥井章仁は、11月21日、千葉県内で所属するトヨタヴェルブリッツの練習試合にFW第3列(バックロー)のNO8で先発フル出場した。
リーグワン1部の開幕に向け、同2部のNECグリーンロケッツ東葛と対峙。ブレイクダウンと呼ばれるボール争奪局面で存在感を示した。
向こうが走者と援護役の塊を作り、じっくりボールを出そうとしているところへ鋭く身体をぶつけてターンオーバーを引き出す…。
地上の球に絡んで攻めのテンポを鈍らせる…。
身長180センチ、体重108キロと一線級にあっては小柄も、かねての長所である泥臭い仕事に磨きをかけていた。継続的なトレーニングで背中も大きくなったような。
ハイパフォーマンスの要因は、ジャパンでの体験と、姫野和樹、青木恵斗、三木皓正らヴェルブリッツにいる強力なライバルとの切磋琢磨のようだ。
63-14で勝利した後に本人が言った。
「インターナショナルでやらせてもらって、アタック、デイフェンスともブレイクダウンの激しさ、厳しさについて色んな意味で学ぶことが多く、それが活きてきています。トヨタのバックローも層が厚いので、色々と試行錯誤しながら練習しています。いい状態を保てているかなと」
大阪桐蔭高時代は高校日本代表のほか、20歳以下日本代表へも飛び級で加わった。進学した帝京大では、副将を務めた2023年度に大学選手権を制した。現在4まで伸びている連覇を3にしたのはこの人たちだ。
リーダーシップも買われ、昨季終了後はナショナルチームに加わり給水係も任されるなどグラウンド内外で奮闘。現地時間9月6日のパシフィック・ネーションズカップのアメリカ代表戦(カリフォルニア州サクラメントのハート・ヘルス・パーク)で初キャップを獲り、10月中旬以降のキャンペーンにも参加できた。
最初は2番手格のJAPAN XVで主将を任された。日本代表の麻田一平アシスタントコーチによれば、ゲーム直前に出場メンバーをランチへ連れてゆくなど先導力を示した。
しかし、11月までに始まったヨーロッパツアーへは参加できなかった。その後、同じポジションに故障者が相次いだが、追加招集の声はかからなかったという。
本隊が強豪国に苦しまされることも多いなか、「難しいなかでも自分のラグビーを信じてやっているところは誇りに思います」。同僚でSOの小村真也が現地で初キャップを獲ったのにも喜ぶ。
「僕がインターナショナルレベルになれていなかったから、(遠征に)行けなかったというだけ。もう1回そうなれるためにやっていきます。特にブレイクダウンは、自分の武器にしないといけない。フォーカスしています」
まずはヴェルブリッツで「やるべきことをやる」。大型化の進む国際舞台にあって、サイズとは別な資質で勝負するのは代表戦でもリーグワンでも同じだ。
クラブは、確かな陣容を誇りながら前年度にレギュラーシーズン12チーム中10位と低迷。浮上へのポイントは何か。そう聞かれた奥井は、自身の強みと紐づけるように答えた。
「しんどいことをどれだけやり続けられるか。去年は『ふっ』と息を抜いたところで相手に差し込まれていた。踏ん張って、伸びるようになれば…。いい選手はいますし、いいキャラクターも多い。それプラス、キャラクターじゃない部分、誰でもできるところをちゃんとできるかが鍵になってくるかなと」
部内における「反骨心」の高まりには手応え。粘り強さをもたらしたい。
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