日本代表・藤原忍がフランスから帰国の齋藤直人に学んだこと。

総合的判断による。
ラグビー日本代表のSHである藤原忍は、7月5日に福岡・ミクニワールドスタジアム北九州であったウェールズ代表戦へ先発して躍動。しかし12日の兵庫・ノエビアスタジアム神戸での同カードにおいては、ベンチスタートとなる。
起用法について、エディー・ジョーンズヘッドコーチが説明する。
「メディアは誰がスタート、リザーブになるかを重要視する。その気持ちはわかる。ただ、我々は勝つためにメンバーを構成する。前半と同時に、最後の20分間も重要な時間帯になる。安定したパフォーマンスをしている藤原が終盤、元気な状態で入ってインパクトを与え、力強く締めくくることは大事だと考え、この配置になっています」
5日、暑さで動きの鈍る伝統国をジャパンが終盤に振り切った。24-19。
攻めの起点を担った26歳は、「暑さはあったんですけど…」。所属するクボタスピアーズ船橋・東京ベイの試合で普段から長袖のアンダーシャツを着ているため、半袖のジャージーで臨んだこのゲームは何とか乗り切れた。
ノーサイドの1分前までフィールドに立ち、「次の日は(体重が)3キロくらい減っていました」。翌朝に身体のダメージを感じたと明かしつつ、会心の勝利から反省点を見出していた。
「いい勝ち方をしたなかでも、キックの使い方、ディフェンスで課題は出た。ここを修正しながらやりたいです」
再戦までに確認したい点のひとつに、キック処理の手順を挙げる。
先方の放つ高い弾道を首尾よく捕ることで、攻撃の機会を増やしたい。
「相手はハイボールでリズムを作ってきていた。まずはそれを(向こうに渡さず)キャッチする。そうすれば、自分たちのアタックのシステム(でよい形を作れる)」
ジャパンの守りでは、SHは前衛と後衛との間を取り持つ。特に背後のメンバーと連係を滑らかにできれば、空中戦の問題を解決しやすくなると藤原は見る。
その意味で感銘を受けるのは、齋藤直人の引っ張る力だ。
フランス・トゥールーズでのシーズンを終えて1日に合流した27歳が、2人を含むSH、後ろをカバーするバックスリーの面々を交えた即席のミーティングを開いたようだ。
メンバー発表を翌日に控えた9日のオンライン取材で、国内勢きっての高速展開の名手は言った。
「(例の集まりがあったのは)一昨日ですね。(前回)裏に蹴られて少し危ないところがあった。『僕たち(SH)がヘルプできるところがあるんじゃないか』という風になり、『どういう動きをしたらいいか』『バックスリーにどういう声をかけたらいいのか』など細かいことを話しました」
連戦のさなか、リスクを未然に回避するリーダーシップについて学べた。
ファーストマッチの夜。次戦の21番は、自身より約3年早く代表デビューした今度の9番にこう声をかけられたようだ。
「お前よりも代表歴は長いけど、最初のティア1(伝統的強豪国=ハイパフォーマンスユニオン)勝利は先を越された」
後輩が笑って振り返るこの逸話からも、連勝へのモチベーションがにじむ。