国内 2025.05.25

【リーグワン準決勝】緊迫の80分間。スピアーズ、ワイルドナイツとの死闘制し2シーズンぶりのファイナルへ。

[ 編集部 ]
【リーグワン準決勝】緊迫の80分間。スピアーズ、ワイルドナイツとの死闘制し2シーズンぶりのファイナルへ。
ヘビー級のコリジョンが連続した準決勝。スピアーズLOルアン・ボタが突破を図る(撮影:長尾亜紀)



 リーグワン屈指の堅守を誇る両雄が激突した5月25日のプレーオフ準決勝第2試合。29-29のドローに終わった第17節の決着をつける3週後の再戦は、キックオフからノーサイドまで張り詰めた空気がフィールドを覆う死闘となった。

 試合はレギュラーシーズン3位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイの強烈な先制パンチで始まった。開始早々に相手陣22メートル線内でマイボールラインアウトの好機をつかむと、看板の重量FWが推進力を押し出してトライラインに迫る。最後はHOマルコム・マークスがなだれ込み、前半3分で5点を刻んだ。

 リーグ戦は2位通過、3季ぶりの覇権奪回に燃える埼玉パナソニックワイルドナイツも、もちろん黙ってはいない。続くターンですかさずレッドゾーンに攻め入り、ゴール前でペナルティを獲得。SO山沢京平がPGをなんなく決めて3点を返す。

 拮抗した流れが傾くビッグプレーが飛び出したのは直後の10分だ。中盤のスクラムからワイルドナイツのFB山沢拓也がキックを蹴り込むところへスピアーズのSH藤原忍が鋭い出足で圧力をかけ、狙い澄ましたチャージ。そのまま転がるボールを胸に収めて中央に走り抜ける。

 ワイルドナイツも14分、好ディフェンスで得た5メートルスクラムからNO8ジャック・コーネルセンがサイドを突き抜け左中間にトライ。10-12と詰め寄るが、その後はスピアーズの分厚い壁のようなディフェンスに攻めあぐねるシーンが続き、なかなかスコアを伸ばせない。

 するとスピアーズが徐々に勢いを盛り返し、29分にSOバーナード・フォーリーのPGで3点を追加。さらに32分には左コーナーのラインアウトからモールで前進し、ショートサイドをHOマークス→SH藤原で仕留めきる。SOフォーリーが難しい角度のコンバージョンを決め、22-10とリードを広げて前半を折り返した。

 後半も先にスコアを挙げたのはスピアーズだった。8分、WTBハラトア・ヴァイレアが約45メートルのロングPGを通し、2チャンスでも追いつけない15点差までスコアを拡大する。

 このままスピアーズが押しきるのか。違った。そこまで相手防御を崩せない場面が続いていたワイルドナイツだったが、11分にフィニッシャーのWTB竹山晃暉がインゴールに転がしたボールをみずから押さえ、ようやく追加点を挙げる。

 これでゲームの流れを変えると、17分にはBKの右展開からSO山沢京平が相手タックラーを巧みに振り切って右中間へ。24-25と一気に逆転圏内へ詰め寄った。

 そこからのラスト20分は壮絶な攻防が繰り広げられる濃密な時間となった。スピアーズの波状攻撃をワイルドナイツが猛タックルを連発して守り抜けば、スピアーズも気迫みなぎるビッグヒットでピンチをしのぎきる。

 迎えた38分。スピアーズは相手ボールのスクラムを力強く押し込んでペナルティを獲得すると、WTBヴァイレアが左中間約50メートルのロングPGをふたたび沈める(28-24)。

 PGでは届かなくなったワイルドナイツもトライでの逆転を期して渾身の猛攻を仕掛けたが、スピアーズの堅い守備は崩れない。最後は自慢のFWパックがまたしてもスクラムをドミネートし、勝負を決めた。

 スピアーズの決勝進出は、初優勝を果たした2022-23シーズン以来2季ぶり2度目。6月1日に国立競技場で15時5分にキックオフされるファイナルでは、前年度王者の東芝ブレイブルーパス東京と対戦する。

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