自称「遅咲き」? 来日1年目のヤンコ・スワナポールがヒートで作った目標。

ぶつかり合いで金髪が目立つ。
身長200センチ、体重114キロと大きなヤンコ・スワナポールは、初参戦のジャパンラグビーリーグワン1部で存在感を放つ。
三重ホンダヒートでFW第2列のLOに入り、迫りくる走者を仕留める。次の球出しを鈍らせる。攻めてはサポートからのランでスピード感を醸す。
クラブ関係者からは練習熱心と評判だ。本人は笑う。
「チームの方にそう言ってもらえていると聞いて嬉しいです。引き続き、一生懸命やっていきます」
南アフリカ生まれの25歳。競技を始めたのは7歳の頃だ。父のユアンもラグビー選手で、自然な流れでいまいる世界に惹かれた。
「父もLO。身長は私のほうが2センチ高い。私は16歳になる時、一気に背が伸びました。189センチから197センチへ。それは、長身の間では『遅咲き』のようです」
2020年からの4年間は自国のブルズでプレー。来日したのは、新たな世界に触れたかったからだ。
「『日本ラグビーはスピード、テンポが速い』と聞きました。自分に合うと思いました。来日自体もいい挑戦だと感じていました。また日本には、テストマッチレベルの選手が多くいるため、いい経験ができるとも考えました」
確かに昨今のリーグワンでは、それぞれのクラブが各国代表経験者を補強している。
自身のいるヒートには、フランコ・モスタートがいる。ワールドカップ2連覇中という母国の代表チームで、スワナポールと同じLOを担う34歳だ。身長200センチ、体重112キロと、サイズも似ている。
身近なロールモデルについて、若者は告白する。
「実を言うと、彼は私が幼少期から尊敬するプレーヤーの1人でした。敬意の眼差しで彼を見て、色々と学んでいます」
その事実を本人に伝えたかと聞かれ、相好を崩す。
「直接はまだ。ただ、このようなインタビューでは毎回そう答えているので、もし本人が記事を読んでいるなら知っていると思います!」
一線級にあってずば抜けて筋力があるのかはさておき、とにかくファイトするその資質に凄みを感じる。
「筋肉とは無関係に、身体は張れるのだと感じさせられます。メンタリティに長け、身体の使い方も上手です」
新しい環境のもと、新しい目標を作った。日本代表になることだ。
国際統括団体であるワールドラグビーの規定上、ルーツを持たない国の代表を目指すには当該国協会への60か月連続の登録が求められる。
子どもの頃に夢見た南アフリカ代表入りよりも、長い道のりを経ての日本代表入りを目指す。
「日本に来ると決めた時点で、それを視野に入れていたのです。もちろん南アフリカ代表には昔から憧れていました。もしそちらに選ばれる機会があればそちらを選びますが、(先に)日本代表に選ばれる機会があればそちらに行きます」
話をしたのは4月11日。悪天候に見舞われた東京・秩父宮ラグビー場で第15節で14度目の出場を記録した直後だった。「雨の中来ていただいたファンの方には感謝しています。モチベーションになりました。まずは残りのシーズン、しっかり戦い切ります」と締めた。