日本代表 2025.03.24

【サクラフィフティーン PICK UP PLAYERS】気持ちは1回目のW杯。向來桜子[FL・NO8/日体大女子]

[ 編集部 ]
【サクラフィフティーン PICK UP PLAYERS】気持ちは1回目のW杯。向來桜子[FL・NO8/日体大女子]
2022年夏に代表デビュー。3キャップ目がW杯でのイタリア戦だった©JRFU

 向來桜子(こうらい・さくらこ)には高校、大学にそれぞれ同じ名前のチームメイトがいる。セブンズ日本代表の矢崎桜子と、サクラフィフティーンの畑田桜子だ。

「どっちを桜子と呼ぶかは、自己紹介の時に話題になりました。でも、矢崎は中学から(関東学院)六浦にいたのですでに『ラコ』と呼ばれていたのに自分は向來でした(笑)。日体大では『サクラ先輩』とたまに言われますが基本、向來です。畑田も基本名字で、同期は『はーちゃん』と呼んでいます」

 結局、「桜子」呼びは取り合わなかったというのがオチだ。

 3年前のW杯には、チーム最年少19歳で出場した。大学在学中に2度のW杯を経験する稀有な存在になりつつある。
「すごくいい経験をさせてもらえています。でも、まだ第1次スコッドに選ばれただけでW杯に行けるわけではありません。気は抜けないです」

 前回大会ではプール3戦目のイタリア戦に途中出場。同じく最終戦のみの出場に終わった川村雅未と、2025年での活躍を誓った。
「何もできなかったのが本当に悔しくて。だから今年は2大会目と思わずに、1大会目だと思ってチャレンジ精神を持って走り続けたいです」

 新潟県出身。先に中条RSに入団していた姉を追うように、「3歳頃」から楕円球に触れた。「ちゃんとラグビーと向き合ったのは年長か小1あたり」と記憶している。

 同級生には東洋大で2年時から正HOを担う小泉柊人をはじめ、「意識の高い選手が多かった」。彼らに感化され、セブンズ代表の高橋夏未や横浜TKMの小池くるみを誘った。

 関東学院六浦でも人に恵まれた。同期には矢崎桜子、1学年下には松村美咲や西亜利沙と将来の代表選手が並んだ。
「ラグビースクールの同期にすごい選手がいたので、自分も負けられないと小さい頃から思っていましたし、六浦にもコツコツと積み重ねられる努力家が多くて自分も励まされました」

 早くからセブンズユースアカデミーに選ばれた矢崎に刺激を受け、当初は「セブンズを極めようと思った」。
 しかし1年時にコベルコカップや「U18女子15人制」を経験。3年時からは石見智翠館との定期戦「六智戦」が始まったことで、徐々に15人制の楽しさを知った。

 3年の冬に代表に初招集されると、鈴木実沙紀や齊藤聖奈といったレジェンドの姿勢に感銘を受けた。「女子ラグビーのために頑張っている姿を目の前で見て、すごくカッコいいなと。それから細川恭子さんのプレーも見て真似しているうちに、15人制にも沼っていきました」

 その3人と同じバックローのポジションを務めるのは光栄だという。
「全員がハードワークをしながらBKともリンクできる仕事人です。ラグビーをよく知っているからジャッカルにいく勘もすごい」

 リスペクトは尽きないが、いずれは「超えないといけない」と闘志を燃やす。日体大で培ったフィットネスや、セブンズで身につけたハンドリングは「戦える」と自負する。

「あとは私、普段から声が大きいので(笑)、そこも生かしたいと思っています。空いているスペースへの声かけだったり、SHや他のBKとのコミュニケーションはこれからも頑張りたいです」

 1月は久しぶりのまとまったオフを過ごし、高橋夏未らと課題のサイズアップに励んだ。万全の状態で3月からの代表合宿に臨む。

(文/明石尚之)

※ラグビーマガジン4月号(2月25日発売)の「女子日本代表特集」を再編集し掲載。掲載情報は2月16日時点。

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