いざ、3大会ぶりの優勝へ。フランスがスコットランド戦の登録メンバーを発表。

前節、アイルランドを相手に5トライを挙げ、ボーナスポイント付きで勝利(42-27)したフランス代表を、日本代表のエディー・ジョーンズ ヘッドコーチ(以下、HC)は「最高級のボルドーワインを思わせるものだった。飲み始めは力強く、飲めば飲むほど良くなり、最後の一滴まで素晴らしかった!」と絶賛した。(「Planet Rugby」)
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優勝をかけて臨む最終ラウンドのスコットランド戦。フランス代表は負傷したSHアントワンヌ・デュポンと脳震盪を負ったCTBピエール=ルイ・バラシを除いては、前節の勢いを継続するべく、先週のメンバー構成を維持した。
アイルランド戦でデュポンに代わって途中出場したマキシム・リュキュが9番のジャージーを着る。
「先週のマキシム(リュキュ)のパフォーマンスを見れば、ローテーションを予定していた場合を除き、彼を外すことは不可能。選考においてパフォーマンスはもちろん考慮され、彼は我々の期待に応えた」とファビアン・ガルチエHCは説明する。
CTBにはガエル・フィクーが復帰する。昨年末のトップ14の試合で左手親指を骨折しピッチを離れていたが、2月22日のラシン92戦で戦列復帰し、2試合に出場している。
フィクーはこの試合でフランス代表キャップ数が94になるが、シックスネーションズでのキャップ数は50になり、フィリップ・セラのフランス代表シックスネーションズ最多出場記録に並ぶ。
今回もFW7+BK1のベンチ構成を選んだ。この選択について、「スコットランドに対応するための選択ではなく、我々が良いパフォーマンスをするための選択」とガルチエHCは説明する。
先週は控えだったリュキュが試合をスタートすることになり、今週はSHノラン・ルガレックがベンチで出番を待つ。
アイルランドに見事な勝利を収め、チームに変化が起こったのだろうか?
「どの試合にも重要な意味があり、根本的な部分ではチームは何も変わっていない。我々は6年前から同じ方向性で進んでおり、大きな成功もあれば、痛みを伴う失敗もあった。しかし、常に選手たちを、そしてチームを成長させたいという意欲で取り組んできた。自分たちに対して厳しい基準と向上心を持ち続けたい。先週の結果は、これまでの取り組みを目に見える形にしてくれた。そして、今週の試合では、新たに全てを問い直されることになる」
この試合にボーナスポイント付きで勝利すれば、イングランドの結果に関わらず2022年以来のシックスネーションズ優勝となり、またアウェーでの試合が3戦となる奇数年での優勝は2007年以来になる。2021年の大会でも同じような状況があった。
「4年前にも同じようなシナリオがあった。我々はボーナスポイント付きで勝利し、特定の点差をつける必要があったが負けてしまった。スコットランドのグレガー・タウンゼンドHCが、それが彼らのモチベーションになっていたと話していた。スコットランドは試合に勝つためにやって来る。彼らにはそれを成し遂げるための力があり、すでにそれを証明している」
そう述べながら、ガルチエHCは選手の気の緩みを警戒する。
「我々はラテン民族だ。時に良いパフォーマンスを続けることができないのは、遺伝子レベルの問題だ。アングロサクソンの国々は、全く異なるアプローチをしている。我々は常に警戒しなければならない。選手たちに決して気の緩みを許さないよう注意している。もう一段階レベルを上げるためにも、それは許せない」
今週、フランスチームはパリのアンヴァリッドを訪れ、戦争で負傷した人々と共に一夜を過ごしている。アンヴァリッドは、17世紀にフランスのために戦った傷痍軍人たちの功績を讃えるための療養所として建てられ、今も100人ほどの傷痍軍人が暮らしている。また、ここにはナポレオン・ボナパルトの他、第一次、第二次世界大戦で亡くなった英雄や、フランス代表が試合前に歌う国歌「ラ・マルセイエーズ」の作者も眠っている。
「選手たちの視野を広げることが目的だった。つまり私たちの周りで起こっていること、そしてフランス、私たちの歴史に関心を持ってもらいたかった」とガルチエHCは訪問の意図を述べているが、それ以上に選手の心に訴えるものがあったようだ。
「ラグビーではよくフィールドを戦場に例えるけど、それは間違いだった。僕たちは戦争を知らない。でも彼ら(傷痍軍人)は知っている。彼らは国のために戦い、戦場で健康を害し手足を失った。僕たちは現実を学んだ」と述べるFLポール・ブドゥアンは、国のために犠牲を払った戦士たちの現実、さらに強さに触れ、決戦に臨む決意を新たにしたことだろう。
「黄金世代の選手たちを擁しているのに優勝は2022年のシックスネーションズの1度きりというのは少なすぎる」と批判を受けていたフランス代表スタッフ。2023年のワールドカップの悔しさを少しでも晴らすためにも今大会の優勝がほしい。決戦の地はフランス、スタッド・ド・フランスだ。
「ホームでの決勝は、我々が望んでいたことであり、今大会でまず達成した目標だ。夢という言葉は使わない。目標達成に向けた強い意志で実現するべき目標だから」
自国のサポーターの前で、そして手術を受けるために膝の腫れが引くのを待ちながら、チームにとどまりサポートしているデュポンと共に優勝カップを掲げたい。
この試合には、フィクーのフランス代表シックスネーションズ最多出場記録以外にも、いくつかの記録が塗り替えられる可能性がある。
先週、フランス代表最多トライ数でセルジュ・ブランコの記録(38)に並んだWTBダミアン・プノーがトライを決めれば、新たな記録を打ち立てることになる。また、FBトマ・ラモスが6点を得点すれば、フレデリック・ミシャラクのフランス代表最多得点記録の436点に並ぶ。
さらに、フランスでは「ビップ・ビップ!」と呼ばれているWTBルイ・ビエル=ビアレは、今大会7トライを挙げており、1大会の最多トライ記録まであと一つと迫っている。ちなみに、「ビップ・ビップ」とは、ワーナー・ブラザースのアニメでコヨーテに狙われながらも、知恵とスピードで毎回巧みに逃げ交わすロードランナーの呼び名である。
フランス代表チーム スコットランド戦メンバー
🇫🇷🏴 Rendez-vous 𝐬𝐚𝐦𝐞𝐝𝐢 au @StadeFrance !
— France Rugby (@FranceRugby) March 13, 2025
🔵⚪️🔴 On aura besoin 𝐝𝐞 𝐯𝐨𝐮𝐬 ! 💪#FRAECO #XVdeFrance #NeFaisonsXV pic.twitter.com/Xf6eM7bSu1