日本協会・岩渕健輔専務理事がアジアラグビー副会長停職事案に言及。正式な手続きなく進行、当局から「説明がない」

日本ラグビー協会は3月12日に理事会を開催し、終了後に岩渕健輔専務理事がメディア向けブリーフィングをおこなった。
冒頭、岩渕氏が副会長を務めるアジアラグビー(AR)より「一時的な停職」を受けた件の説明がなされた。
2月24日付でARが「行動規範違反の可能性」を理由として、岩渕氏に対し調査終了まで一切の職責を停止することを決定・発表した。日本協会は25日にこの判断の経緯と理由を確認中とする声明を発表。28日には「一時停止処分およびその公表行為は、当該本人への事前の正式な連絡はなく、突然一方的に公表した行為はアジアラグビーの行動規範に反しており、また明らかに事実と異なる間違った行為を示唆する不当な内容となっており、ただちに撤回を要請する旨の文書」をARに送付したこと、国際統括団体「ワールドラグビー(WR)」にARの対応と本件に至った経緯の調査を要請したことを発表していた。
岩渕氏はかねてからARのガバナンス、財務管理に深刻な懸念があることを発信してきた。昨年9月よりWRからARへの助成金が止められていた状況の中、同年11月にAR副会長選挙でARの健全化を掲げ、透明性と公平性を訴えた岩渕氏が、賛同するユニオンからの支持を受け当選した。そして約3か月後の今年2月、ARは岩渕副会長の停職を発表した。
岩渕氏は「(副会長として)まだ何か大きな仕事をしているわけでも、金銭的なものを受け取っていることもない。なぜサスペンション(停職)したかということも一切の説明がない状況ですし、事態は全くわかっていない」と現状を説明。停職には手続き・手順を踏まなければならないが、本来必要とされる対象者である岩渕氏へのヒアリングもなかったという。
ARを構成するユニオン(協会)の中で、岩渕氏による変革を期待し支持するいくつかのユニオンは今回の処分に対して疑義を呈する文書をARに送付したようだ。「この件をきっかけにARがしっかり変わらなければ、このままだとアジアのラグビーが前に進まないことははっきりしています」と岩渕氏は断言する。
ブリーフィングでは日本協会の2025年度の予算についても発表があった。収入予算76.3億円、支出予算74.3億円となり、3月22日の評議委員会の承認をもって決定するという。2025年度は強化・エンゲージメント・普及育成・女子ラグビー・組織基盤・財務基盤・価値基盤の7つを事業計画の柱とした。また2025年から2028年の中期戦略計画も承認され、詳細は改めて発表する意向だという。
理事会には15人制男子日本代表のエディー・ジョーンズHCも出席し、昨年の代表活動終了後に実施した選手、関係者によるアンケートの結果の共有がされた。「(HCは)非常に真摯に受け止めていて、その結果をもとに当然改善されなければいけないところの話」も理事会内でされたという。