国内 2024.05.25

【リーグワンD2/D3入替戦】日本製鉄釜石シーウェイブスが連勝。クリタウォーターガッシュ昭島を振り切りディビジョン2残留!

[ 三谷 悠 ]
【リーグワンD2/D3入替戦】日本製鉄釜石シーウェイブスが連勝。クリタウォーターガッシュ昭島を振り切りディビジョン2残留!
接点で激しいファイトを見せたシーウェイブスのNO8サム・ヘンウッド(撮影:松本かおり)



 ジャパンラグビー リーグワンのディビジョン2/3の入替戦第2節が5月25日、AGFフィールドで行われ、日本製鉄釜石シーウェイブス(ディビジョン2=6位)が、クリタウォーターガッシュ昭島(ディビジョン3=3位)を相手に第1節に続いて勝利。ディビジョン2残留を決めた。

 第1節を37-19で制したシーウェイブスは、勢いそのままに開始早々から攻め立てる。4分、敵陣ゴール前のラインアウトを起点に右へ大きく展開。最後は、FBヘンリー ジェイミーのバックフリップパスを受けたWTB阿部竜二がタックラーを振り切って先制点を挙げた。

 前節、プレーヤーオブザマッチに輝いた阿部は今節も絶好調。再開直後のキックオフボールをキャッチすると、得意のランで仕掛ける。相手ディフェンスの隙間を縫って約40㍍を突破。サポートに入ったFLベンジャミン・ニーニー、SH村上陽平とつながり追加点。14-0として主導権を完全に握った。

 反撃を試みたいウォーターガッシュだが、相手の堅い守りをこじあけられない。前に出る圧力と激しいタックルを受け、ミスとペナルティを繰り返す。苦しい状況に輪をかけるように、12分にはSOピアーズ・フランシスが負傷交代。その7分後には3本目のトライを許し、さらに追い込まれた。

 この苦境を救ったのは強みのセットピースだった。23分、この日6度目のスクラムで初めてペナルティを奪い、ゲームの流れを引き寄せる。シーウェイブスに疲労が見え始めた29分、SH新和田錬のフラットなパスにCTB柳田翔吾が走り込んでトライ(7-21)。反撃の狼煙を上げた。

 追加点もスクラムが起点となった。自陣左サイドでのマイボールをしっかりとキープし、右に展開。タッチライン際でパスを受けたWTBホセア・サウマキが次々と相手を抜き去り、およそ60㍍を走り切った。コンバージョンも成功し、14-24。10点のビハインドで前半を折り返した。

 初戦のスコア(19-37)を考えると、トライを積み重ねるしかないウォーターガッシュは後半、逆転に向けて攻撃のギアをより加速させていく。スクラムで立て続けにコラプシングを誘い、ペースを掌握。アタックそのものの勢いも増し、後手に回ったシーウェイブスはペナルティを頻発する。

 11分、ウォーターガッシュは敵陣深い位置でのラインアウトからゴール前中央へと侵入。ふたたびサイド(左)へ振り返し、最後はWTB濱副慧悟が仕留めた(19-24)。

 追い上げられたシーウェイブスは悪い流れを断ち切れない。22分には自陣ゴール前で、PR稲田壮一郎が反則の繰り返しによってシンビンを受け、数的不利の状況に。このペナルティでウォーターガッシュは当然のようにスクラムを選択。すばやくショートサイドへ運び出し、またも濱副がゴールラインを陥れて同点。難しい角度のゴールも決まり、26-24。ついにスコアをひっくり返した。

 昇格の尻尾が見えてきたウォーターガッシュ。しかし、この大事な局面でシーズンを通して課題だった規律の乱れが生じてしまう。逆転後の約10分間で3つのペナルティを重ね、31分にはPR出渕賢史がシンビンで一時退場。対するシーウェイブスはPR稲田がピッチに戻り、数的優位の状況を巧みに使う。34分、相手ゴールライン手前で左右に細かくボールを回し、ディフェンスを中央に寄せる。仕上げはヘンリー ジェイミー。SO落和史のロングパスを左タッチライン際で受けて、そのままインゴールへ。29-26とふたたびリードを奪った。

 落ち着きを取り戻したシーウェイブスは、このあと2本のトライを追加。一方のウォーターガッシュは、さらに退場者を出すなど逆転時の勢いを失ったままノーサイドの笛を聞いた。最終スコアは41-26。我慢強く戦い抜いたシーウェイブスが2季連続でウォーターガッシュの挑戦を退ける形となった。

 ディビジョン2残留を果たした須田康夫HCは、「ゲームの入りで乗れた。プレッシャーを受けたところもあったが、選手たちが我慢して最後に加点できた。我々の強いところを出せた」と勝因を語れば、キャプテンの小野航大も「我慢比べで勝ち切れた。来季もディビジョン2で戦えるチケットを手に入れられた」と安堵の表情を見せた。

重圧に打ち勝ったシーウェイブス。来季もD2で戦う権利をつかんだ(撮影:松本かおり)

 惜しくも昇格を逃したウォーターガッシュのワイクリフ・パールーHCは、「あとひとつトライが取れればという場面でホセア(・サウマキ)が大きくラインブレイクしたが、相手の14番(阿部竜二)のすごくいいタックルに阻まれた」と勝負を分けた場面を悔やんだ。

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