日本代表 2024.05.22

もっと意欲を剥き出しに。10年ぶりの菅平合宿でエディー節露わに

[ 田村一博 ]
もっと意欲を剥き出しに。10年ぶりの菅平合宿でエディー節露わに
精力的に動き、指示の声を出し続けたエディー・ジョーンズHC。(撮影/松本かおり)



 以前のままだ。
 エディーが率いるチームの朝は早い。
 15人制男子トレーニングスコッド(日本代表候補)菅平合宿が5月20日から始まっている。

 ロケットスタ―トだ。
 午前6時に始動。ジムでのトレーニングから始まり、午前と午後に1回ずつの練習と、3部練が繰り返される。
 5月21日、報道陣に公開された午後の練習ではアタックの基礎作りやタックルの基本動作などの反復がおこなわれた。

 5月22日の午前練でもディフェンス時の前への出方や、アタック時のシェイプとボールの動かし方が繰り返された。
 FWはスクラム、ラインアウトにも取り組んだ。

5月22日の菅平は好天に恵まれ、選手たちの意思疎通も日々高まっているようだった。(撮影/松本かおり)

 今回の合宿についてエディー・ジョーンズ ヘッドコーチ(以下、HC)は、「日本ラグビーを再構築する」と言う。
「だから、ラグビーの魂と言っていい菅平に来ました。選手にもそれを感じてほしい」
 毎日、自分のベストを更新することを望む。

 一日複数回の練習でフィジカル面を伸ばしたい。「私たちのベストなラグビーができるようなコンディションを作る」ことを推し進める。
 2月の福岡合宿にも参加した選手が多くいる。そのときには、『超速』ラグビーの概念を伝えた。

 判断と動きのスピードを、個人と集団に求めるスタイルだ。選手たちに求めるものは多い。共通ワードや判断基準の共有が進められる。
「ダン(ボーデン)とデイビット(キッドウェル)が細かいところを落とし込んでくれています」

 それぞれアシスタントコーチとして、アタックとディフェンスを担当している。走るコースや角度、ポジショニングの位置など、細部を伝える。
 イングランドに勝つための戦術、戦略を練る前に、その土台や部品作りについて、先に手掛けている。

 トップ4チームは今週末に3位決定戦と決勝を控えている。
 菅平にいる選手たちは、リーグワンのそれ以外のチーム(ディビジョン1の5チーム。入替戦の3チームも除く)から選出された者と大学生たちだ。

 ジョーンズHCは、今回招集した選手たちを「あくまでトレーニングスコッド」と強調するも、6月22日におこなわれるイングランドとのテストマッチへの出場権をつかみ取る選手が出てきてほしいと話す。

 トップ4のチームから選出される選手と、菅平組から這い上がる選手を合わせた33人が6月に実施される宮崎でのキャンプに参加する。
 狭き門からイングランド戦に出たいと強く思っている選手は誰か。指揮官は、「それを見つけていきたい」と話した。

 2015年のW杯で日本代表指揮官の職を離れた後、イングランド、オーストラリアで代表の指導に当たった。
 その間も日本ラグビーを見つめてはいたけれど、代表候補選手たちを直接指導するのは9年ぶりのことだ。

 長い歳月を経ての直接指導に感じることがあった。
「体つきやフィジカル面は良くなっていると思います。しかし、自主的な面をもっと見せてほしい。もっとハングリーさを、もっと良い選手になりたいという意欲を剥き出しにしてほしいと思います」

 才能ある選手たちを菅平に集めている。
「しかし、ワールドフィフティーンに入っている選手がいるわけではありません。持っている才能を、どう質の良いパフォーマンスに結びつけていくかを考えないといけない」

 ハードワークするにも才能が必要だ。
「その才能を持っている上で、学ばないといけない。良い選手は、今日学んだことを翌日、忘れずに実践できる選手」
 ハードワーカーで、良きチームメートでいられる選手を求めている。

 合宿最終日の5月29日には、チーム内でのセレクションマッチが実施される。
 チームが求めていることを実践し、生き残りへの強い意欲をアピールできた選手が次のステージに進めることになる。

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