【太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ】熊谷大会を制したのは東京山九フェニックス。日体大の33連勝中・ながと撃破など、熱い2日間

初日は強い日差しが照りつけ、2日目は薄曇りで過ごしやすかった。
4月20日、21日の2日間、『太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2024』第2戦、熊谷大会は天候にも恵まれて盛り上がった。
昨季の年間王者(全4大会で優勝)、ながとブルーエンジェルスが準々決勝で敗れた。
日体大が33連勝中だった常勝軍団を止め、大会2日目は午前中からスタンドが沸いた。
しかし、その日体大は準決勝で三重パールズに敗れる。
パールズは、2大会連続でファイナリストとなり今季好調だ。末結希主将の気合いは、表情と動きの両方から伝わってくるほどだった。
今大会、パールズと決勝戦で戦ったのは東京山九フェニックスだった。前回大会、北九州の地では準決勝で敗退して悔しい思いをした。
2022年の第4戦、弘前大会以来の優勝を手にしたい気持ちは大きかった。
互いの思いが詰まったパールズ×フェニックスの頂上決戦は、攻め合いで始まった。
最初の得点は前半3分。自陣ゴール前でPKを得たパールズの庵奥里愛が約100メートルを走り切って先制トライを奪う。ビッグランだった。
その直後、今度はフェニックスが走る。リスタートのキックオフを受けた背番号10、松村美咲が約75メートルを独走した。ゴールポスト下に駆け込み同点に追いついた(4分、7-7)。
フェニックスは6分、ブレイクダウンで圧力をかけてPKを得ると、サインプレーを仕掛けて防御を揺さぶる。最後は絶妙なコンビネーションでトライを追加した。
大黒田裕芽が柔らかなパスをスペースに浮かべると、岡元涼葉が走り込む。鋭い突破で駆け抜けた。
14-7とフェニックスのリードで迎えた後半、赤いジャージーは立ち上がりから高い集中力を見せた。ターンオーバーから敵陣に入り、チャンスをつかむ。
スクラムから左に攻め、野原みなみがインゴールにボールを置いたのは3分。19-7と差を広げた。
しかしパールズも粘った。その直後、前回大会で大会MVPに輝いたジャネット・オケロが自陣から左アウトサイドを走り、トライラインを越えた。スコアが7点差に縮まる。
残り時間は2分強。緊張感が高まった。
直後の大事なキックオフ。その局面でボールを確保したのはパールズだった。しかしそれは、フェニックスのディフェンスのギアが上がった瞬間でもあった。
相手がボールを大きく動かし、決定力のあるオケロにボールが渡った瞬間、尾崎夏鈴が突き刺さる。
さらに重なるフェーズの途中、ブレイクダウンに鋭く頭を突っ込んだのは岡元だ。反則を誘ってPKを得た。
フェニックスはPKを蹴り出し、ラインアウト後はボールを保持し続けた。
そのままリードを保って残り時間を過ごす。歓喜の時が訪れた。
キャプテンの岡元は、待ちに待った優勝に「とにかく嬉しいです。前大会ではパールズに負けました。レベルアップしたところを見せられたと思います」と相好を崩した。
2週間前の大会を振り返り、試合の入りやディフェンスの組織力を高めて今大会に臨んだ。全員で質の高い準備を積み重ねてきた成果を出せた。
「前回の負けを無駄にせず、1試合、1試合、目の前の試合に集中できました」
フィールド内外でコミュニケーションを取り続け、試合を重ねるごとに結束を高めていった。
大会MVPに輝いたのはフェニックスの松村。決勝戦のトライを含む3トライと13Gで41得点を挙げ、チームを牽引した。
幼い頃からボールを蹴ることが好きで、練習と研究を楽しむように繰り返してきた。身につけた高いテクニックは、肉体の成長とともに、より安定感を増している。
北九州大会では納得のいくプレーができず、チーム同様、自身にベクトルを向けて課題を克服し、今大会では求めていたパフオーマンスを出せた。
まだ19歳。スケールの大きい未来が待っている。