ステイハングリーの精神で必勝を誓う。下川甲嗣(サンゴリアス)は引きずらない男になった
テーマは『ステイハングリー』。
2週間前の前節(3月28日)は、前半を35-10とリードしながら最終的に35-37と横浜キヤノンイーグルスに敗れた。
悔しさにまみれた東京サントリーサンゴリアスは勝利に飢えている。
4月7日のコベルコ神戸スティーラーズ戦(神戸ユニバー)にはマストウィンの決意で臨む。
開幕から11戦を戦い8勝3敗の3位。プレーオフトーナメント進出(4強以上)に近づくためにも、5位につける相手に必ず勝ちたい。
イーグルスに敗れた後、チームは日々の練習の中で、逆転負けを喫した試合で出た課題を修正した。
例えばFWならセットピースについて見直した。スモールグループを作り、選手同士で何度も話した。
互いの勝ちたい気持ちも確認し合った。
「チームとして、もう一度、勝ちにハングリーになろうと。練習でやったことが試合にあらわれる。細かいディテールにこだわり、それをプレーに出して勝ち切ろう、勝つことにハングリーになろうと言い続けました」
そう話すのは下川甲嗣(かんじ)だ。今季開幕からの全11試合で6番のジャージーを着て先発、ピッチに立ち続けている。
スティーラーズ戦にも、いつもの背番号を付けて出場する。
常時出場し続けられているのは、一貫性のあるパフォーマンスを発揮できているからだ。
メンタル面の成長が大きい。その理由を「アグレッシブにプレーできている」からと自己分析する。
昨季まで感じていた自分の調子の波を、「ミスを恐れずにプレーする」ことでなくした。
失敗を引きずるところがあった。しかしいまは、「すぐに切り替え、次のプレーに向かうようにしました」と話す。
ミスをした後、いろいろ考えたり、違うことをやろうとして、それがネガティブな連鎖を呼ぶ。
「出口を探そう、探そうとしたり、すぐに(ミスを)取り返そうとして、ますます深みに入ることがありました」
今季は、「基本に立ち返るようにしています」。
それがプレーの幅を広げ、次へのチャレンジにつながると気づいた。
昨秋はワールドカップに出場。日本代表で学んだことでもある。
国を背負って戦っているチームだ。プレッシャーもかかる。思うような結果を残せないこともある。
そんな時、リーダーたちはネガティブなフィードバックばかりをするのではなく、ポジティブなところを見て、次へ進む道を選んでいた。
「(チームの中にいて)反省すべきところは反省するけど、次に向かう方が大事と感じました。いま、(自分も)そうしています」
今季のサンゴリアスは、キックを積極的に取り入れている。FWにもハードなチェイスの繰り返しが求められる。
ただ走るだけでなく、約束事を守りながら、周囲とコミュニケーションを維持する。チーム力が問われる局面でもある。
現在、以前より2キロ重い107キロ。疲労が蓄積するシーズン中も体重が落ちないのは、トレーニング時にタフチョイスできている結果だ。
体調の良さがパフォーマンスに直結している。
日本代表のヘッドコーチにエディー・ジョーンズ氏が就任し、選手選考の基準も変わるだろう。
ふたたび桜のジャージーを着て世界と戦いたい。リーグワンで結果を残すことが求められる。
しかし、過剰なアピールをする気はない。世界的な選手が相手チームにいるケースも増えたけれど、やるべきことは、強みであるワークレートの高さをチームの中での役割を果たす際に出し切るだけだ。
それがまた、世界へ出ていく条件と思っている。
スティーラーズ戦も含め、リーグワンでの残り試合は(プレーオフも合わせて)最大で7試合。
この先も、欠かせぬ存在であり続ける。