各国代表 2024.03.16

前戦と同じ23人はガルチエ体制初。フランス、イングランド戦メンバー決定

[ 福本美由紀 ]
前戦と同じ23人はガルチエ体制初。フランス、イングランド戦メンバー決定
勝利でチームに自信を取り戻させたいグレゴリー・アルドリッド主将。(Getty Images)



 初戦でアイルランドに完敗し(17-38)、続くスコットランドには終了間際のレフリーの微妙な判定で勝利したものの(20-16)、第3節のイタリア戦は果てしなく敗戦に等しい引き分けで重たい空気が漂った(13-13)。

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 今季のシックスネーションズでのフランス代表は迷走気味も、先週のウエールズ戦は初キャップの選手を4人導入して大きくメンバーを替え、気持ちよく勝利(45-24)。ラグビー関係者、現地メディアもファンも、ホッとした。

 フェーズを重ねてトライを奪い、思うようにプレーが繋がらない場面があっても、敵にトライを取られても、崩れることはなかった。
 前半を20-17とリード。後半に入ってきたメンバーがチームにエネルギーを与え、3トライを追加して勝利した。しかも取られたペナルティはたったの3つだった。

みんなが見たかったレ・ブルーがようやく帰ってきた。
 ファビアン・ガルチエ ヘッドコーチ(以下、HC)も試合後、「覇気を取り戻した」と満足していた。

 そして今週末(3月16日、21時キックオフ)は、同じメンバーでイングランドを迎え撃つ。まったく同じ23人で連戦するのは、ガルチエ体制になってから初めてのことだ。

France Rugbyの『X』より

「ウエールズ戦ではチームが大きく変わったにも関わらず、とても良いパフォーマンスだった。それ以前からメンバーを替える必要は感じていたが、早急には変えたくなかった。今大会で最も重要な瞬間は、先週、メンバーをミックスして2つのチームでゲーム形式の練習をした時だった。そこで見られたことが、そのままミレニアムスタジアムで見られた。選手間のポジション争いが見られ、誰も諦めることなくジャージーを掴み取りにいった。チームの力を再び結集させることができた」

 ガルチエHCはイタリア戦の後、グループを立て直せたことを認め、「このチームの新たなチャレンジは、その6日後にイングランドと対戦することだ」と続けた。

 開幕から3戦の結果から、ワールドカップに出場していた選手の心身の疲労が問題視されていた。

「決して軽視していたわけではない。我々も気づいていたが2つの意見があった。これについては後日話しましょう。今は総括をする時ではない。エネルギーのことを話すのなら、FBレオ・バレ、CTBニコラ・ドゥポルテル、LOエマニュエル・メアフー、LOチボー・フラマン、PRジョルジュ=アンリ・コロンブが大量のエネルギーを与えてくれた」と初キャップの4人とケガから復帰したフラマンを評価した。

 対戦するイングランドは、今大会一人勝ち状態かと思われていたアイルランドを先週破った。自信をつけている。

「爆発力があり、パワフルで強固なイングランドが戻ってきた。キックとパスを巧みに使い分け、また、キックとディフェンスの上がりで敵にプレッシャーをかけ続ける」とイングランドを分析する。

 これまでフランスの強みだったディフェンスが今大会は機能しない。ウエールズ戦でも穴が見られた。
「あの試合では他のセクターを重視した」と言うのは、トライを取り、ボーナスポイント付きで勝利しなければならなかったからだろう。

「しかしイングランド戦はディフェンスの精度が求められる。激しいぶつかり合いが繰り返されるから強固でコンパクトでなければならない」とイングランドのアタックを警戒する。

 南アフリカ代表でディフェンスコーチとして2度のW杯優勝に大きく貢献したフェリックス・ジョーンズが、今大会からイングランドのスタッフに加わっている。アイルランド戦でもその成果が見られた。

「イングランドは南アフリカのラッシュディフェンスを導入した。敵に襲いかかり、考える時間を与えないディフェンスだ。その襲撃に対応する準備はしている。ボールを持っている者も持っていない者もだ。勝つためには前に出なくてはならない。そのためには常にプレッシャーを逆手にとらなくてはならない。そこで重要なのは、我々がどれだけのエネルギーを注ぎ込めるかだ。地上戦、対人戦、空中戦、どれにおいても壮絶な戦いになるだろう」とガルチエHCは戦況を予想する。

「先週の試合で勝利はしたが、まだ傷が癒えたわけではない。バランスはまだ少し微妙。注意力、集中力、興奮度。すべての警告ランプがまだフルで点灯している。まず自分たちのことに集中しなければならない」とアタックコーチのパトリック・アルレタズが戒める。
 フランス代表にとって今大会で最も重要な試合になるだろう。

 この対戦は『クランチ』と呼ばれ旧くからの両国のライバル関係を象徴する対戦であり、ファンの期待も大きい。今年の会場であるリヨンのグルパマ・スタジアムの約6万の座席は発売から2時間足らずで完売した。

 24万件以上の申し込みがあったと伝えられている。発売されたのが2月27日で試合の日が近づいていたことや、チケット発売日の通知メールを受け取れるように登録していたがメールが届かなかったとか、チケット購入サイトの不具合でバグが起こり購入できなかったなど、不満や批判がSNS上で見られた。


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