韓国代表コーチ就任、アジアNO1目指す。ワイルドナイツ・ユさん
アジアラグビー協会はこのほど2024年シーズンのアジアラグビーのカレンダーを発表した。15人制男子の最上位大会「アジアラグビーチャンピオンシップ」、今季からUAE代表が参加し香港代表、韓国代表、マレーシア代表の4チームが総当たりで栄冠を競う。
開幕戦(第1節)は昨年の覇者、香港にUAEが挑む(6月1日、香港)。韓国は地元、仁川市にマレーシアを迎え6月2日に戦う。
韓国代表をFWコーチとして支えるのが埼玉パナソニックワイルドナイツ(WK)のアドバイザー「ユさん」こと劉永男(ユ・ヨンナム)氏。2月17日、ホームの熊谷ラグビー場にその姿はあった。東京サントリーサンゴリアスとの第7節、昨年4強の直接対決。試合前からラインアウトの専門家としてホラニ龍コリニアシFWコーチ、主将HO坂手淳史、堀江翔太らと話し合う。スローイングの受け手となっていた。試合はそのラインアウトに両チームが対応を見せる。お互いにスチールなど繰り返し安定さを欠いた。埼玉WK、SO松田力也が試合終盤に2本のPGを決めて24-20と7戦全勝とした。坂手主将は「新しいことをやろうとした」ためという。一方、サントリーFWは「埼玉は競ってこない場面もあり戸惑った」。
劉コーチは振り返る。「大変な試合になりました。サントリーも同じ状況でしたが勝てて良かった」。韓国・檀国大時代にLO/FLで代表入り。韓国軍体育部隊(尚武)をへて2008年、当時の三洋電機WKに入団。翌年、2009年度のベスト15に韓国出身選手としてLOで選ばれた(以後も選出者はいない)。赤いジャージーを着て三洋のトップリーグ制覇に貢献してきた。2018年シーズンを終えて引退後はパナソニックWKのラインアウトコーチで指導者へ。2021年トップリーグ最終年、2022年リーグワン初年度の優勝、飯島均GMが「セットプレー、ラインアウトが安定したのはユさんのおかげ」と称えていた。
コロナ禍が収まると飯島GMらに「家族がいる韓国へ帰る」ことを相談した。2023年からは韓国代表コーチ就任。今回もサントリー戦の2日後、2月19日には韓国へ帰国した。「今年も1年契約で韓国代表を見ます」。まずは6月のアジアチャンピオンシップへ備えて代表選手の選抜などに時間をさく。韓国は東京オリンピックを境にして大幅な世代交代を図っている。積極的に国際大会(7人制など)に大学選手を派遣している。
「今年、現代グロービスが高麗大から5名の選手を採用しました。韓国電力も若手で代表経験者がいます。彼らが担っていくようにしたい」
日本からは代表キャップ1を持つレッドハリケーンズ大阪CTB金勇輝(キム・ヨンヒ。大阪朝高-法政大)、新しく日立サンネクサス右PR崔暢賢(チェ・チャンヒョン。大阪朝高-帝京大)が代表入りを狙う。また今春、流経大を卒業したWTB當眞寮(流経大柏)が将来の代表を目指して社会人強豪ポスコE&Cに入団した。
韓国代表をともに率いるのは李明根監督(イ・ミョングン)。延世大から尚武、三星電子を経てワールドファイティングブル入団で来日、ワールドの強化中止を受けてクボタスピアーズ(現・クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)でプレー。SHとして10年間、日本でチームを支えた。引退後、クボタ社員として勤務したが母校・延世大BKコーチ就任で帰国。東京オリンピック後に韓国代表コーチ(7人制・15人制兼任)へ。昨年秋のパリオリンピック・アジア最終予選では指揮を執った。劉コーチとは日本でともに苦労をしつつ実績を残した仲間だ。2023年は、韓国で初めてラグビーの試合がおこなわれて100年目だった。今年は新たな世紀を築く最初の年。一歩ずつ高みに近づきたい。
アジアチャンピオンシップ第2節以降予定。マレーシア×香港(6月8日)、UAE×韓国(9日)。UAE×マレーシア(6月21日)、香港×韓国(22日)。
※ チーム名の先頭がホーム。