コロナ禍を乗り越えて! むさしのガールズラグビーフェスティバルに220人の笑顔
先の見えないコロナ禍での船出は、クラブ幹部からの反対もあった。佐藤幸士ラグビー部門長とともに仕掛けた「価値あるチャレンジ」となった。
心配をよそに、発足当初から年々入会する女子選手は増えている。また、クラブの方針として、他競技からの転向者やラグビー未経験者などを積極的に受け入れるほか、海外から日本に短期滞在中の外国籍の選手に練習の場を提供するなど、多様性を大事にしている。
フェスティバルのU10・U12の開幕戦では、ユースOG(大学2年生)と現役ユース選手(高校3年生)の2名(神奈川県協会所属)がそれぞれ笛を吹いた。トップチームの牧野円レフリーのもと、選手だけではなく女子レフリーの育成にも力を注ぐ。
小学生向けの英語クラスの設立や海外留学を目指すユース選手の後押し、Jr.アカデミーからはU15女子チーム「JAPAN RUGBY ACADEMY」のメンバーを輩出するなど、グローバル化にも余念がない。このフェスティバルを機にJr.アカデミーのチーム活動を本格的にスタートするための準備も着々と進んでいる。
須賀ヘッドコーチは言う。「女子には女子の世界がある」
横河武蔵野アルテミ・スターズのGMに田中彩子が起用されたのも、クラブ文化を形成する意欲の表れだ。
今回のクリニックでも先頭に立ってラガールと交流、田中GMが現役時代にクリニックで交流したラガール達も大きく成長し、いまではアルテミ・スターズの選手として複数名在籍している。 昨年のフェスティバルで日本代表経験者の村上愛梨選手から手厚いサポートを受けたことをきっかけにJr.アカデミーへ入会したラガールいる。今回のU14交流試合では藤戸HC指導のもと、憧れのアルテミ・スターズのジャージをまとい、記念すべき初トライをあげた。「楕円」の縁が繋ぐエピソードであるが、全国各地のガールズラグビーフェスティバルでこのような世代をつなぐ物語が生まれるのであれば、普及・育成活動には大きな意義がある。
フェスティバルの閉会式では、各チームから優秀選手が発表され、チーム帯同のアルテミ・スターズの選手から記念品が手渡された。クラブとしても試合の機会を増やしジュニア世代の交流を促進させることにも余念はない。むさしのガールズラグビーフェスティバルでは、関東では老舗の熊谷、千葉、海老名に追いつくようなイベントに成長できるよう、これからも努力を重ねていくことを誓う。
昨年4月に『女子ラグビー中長期戦略計画』を発表した日本協会・香川理事(Director of Women’s Rugby)もグラウンドへ駆けつけた。ラガール達の真剣な眼差し、最後まで諦めずにボールを追いかける姿を目の当たりにして、ジュニア世代の普及・育成活動の着実な成果を心強く思ったのではないか。
『JAPAN RUGBY 2050』に掲げた2037年以降の女子ラグビーワールドカップ招致活動に期待したい。そして、今回のフェスティバルに参加した世代が桜のエンブレムを胸に活躍する姿を楽しみにしたい。
みんなで描く女子ラグビーの輝かしい未来へ。ラガール達が歩みを進めている。