ワイルドナイツには驚かない。サンゴリアスのサム・ケイン、リーグワン再開へ気力十分
どうして強いタックルが放てるのだろう。サム・ケインは答えた。
「タックルにはいろんな要素があります。まず、身体を張らないといけない。その他、肩に自分の体重を乗せること、(衝突の瞬間に)しっかりとラップする(両腕を相手に巻き付ける)こと、あとはレッグドライブを意識します」
昨年までニュージーランド代表の主将を務め、今季初参戦のリーグワン1部では迫りくる走者を次々となぎ倒す。身長189センチ、体重103キロの32歳は、1季限定加入の東京サントリーサンゴリアスで存在感を示す。
クラブで船頭役を務める堀越康介が、ケインからもらった助言を紹介する。
「まずは周りから信頼されるプレーヤーにならないと、何を言ってもチームには響かないよ」
チームは1月20日の第6節を最後に、レギュラーシーズンの中断期間へ入った。
2月3日には東京・秩父宮ラグビー場で、交流試合にあたるクロスボーダーラグビー2024(クロスボーダー戦)のブルーズ戦に臨んだ。7-43と敗れた。
同シリーズでは、昨季のリーグワン4強が国際リーグのスーパーラグビーに加盟するうちの2チームと激突。サンゴリアスが戦い終えた翌日には、埼玉パナソニックワイルドナイツが本拠地の熊谷ラグビー場でチーフスに38-14で勝っている。
やはり、悔しいものですか。普段チーフスに在籍のケインはそう聞かれ、「プレシーズンなので、それほどストレスには感じていません。シーズン中に負けると、やはり悲しいですが」と応じた。
昨秋のワールドカップフランス大会に出て準優勝の世界的戦士は、勤続疲労を考慮してクロスボーダー戦を欠場した。第6節終了後は、しばらく故郷で静養に努めた。
ブルーズ戦前までに日本へ戻り、2月9日、レギュラー予備軍による三重ホンダヒートとの練習試合をサポートした。
翌10日には、秩父宮のメインスタンドにいた。チーフスがクボタスピアーズ船橋・東京ベイとのクロスボーダー戦を35-30で制するのを見た。
2月13日、都内の練習公開日にケインが述べた。
「(クロスボーダー戦は)両国にとって素晴らしい機会でした。試合によって結果は異なりましたが、このまま継続して開催されればいいですね。チーフスの選手と何名か話す機会がありました。今後への糧があったこと、日本に来るチャンスを楽しんだことを伝えていました」
議論される来季以降の開催時期については意見こそしなかったが、「どのように予定を組んでいくのかには興味がある。観客も楽しんでいたように映ったし、ニュージーランドのファンもテレビで楽しんだと聞いています」。
1勝3敗となった日本勢についてはこうだ。
「(唯一勝ち星を挙げた)ワイルドナイツは、リーグワンでもっとも強いチームとしてチーフスといい試合をしていた。スーパーラグビーにとってはサプライズと言えるかもしれません。ただ、私はそれほどサプライズに感じませんでした。来日からの約3か月で、リーグワンのスタンダードをわかっているつもりなので」
サンゴリアスは現在、5勝1敗で12チーム中3位。2月17日には、リーグ再開後の初戦にあたる第7節へ臨む。
熊谷でワイルドナイツへ挑む。ここまで全勝で、かつチーフスから白星を得た難敵だ。ケインは不敵に笑う。
「ワイルドナイツはストラクチャーがあり、攻守とも強い。自分たちのベストを尽くさないと難しいゲームになることはわかっていますが、楽しみな機会でもある。準備の段階で、私たちのエネルギーが満ち満ちているのは明らかです」
常勝集団へ刺さる。