【コラム】「ラスト3分の奇跡」を生んだ手拍子
試合後にはうれしいメールも届いた。住吉区の施設から10人で観戦に訪れたファンからで、「ラスト3分の奇跡、この目にしっかり焼き付けました。私はラスト3分で逆転された時、正直あきらめそうになりました。でも利用者さんたちがまだ行ける、あきらめたらあかん、と言っていて本当に感動しました。素晴らしい試合でした。本当にありがとうございました。また選手たちで遊びに来て下さい」などとつづられていた。
RH大阪の背番号の上には、連携協定を結んだ順番で1~15番まで区の名前が入っている。たとえ選手の名前を知らなくても、自分が住んでいる区の選手を応援したくなってくれれば、という仕掛けだ。開幕戦ではチームの公式LINEに登録すると、オリジナルアルミカップとビール一杯をもらえるサービスも行った。無料で飲めるだけでなく、ワールドカップのように持ち帰れるカップを使うことで会場で出るゴミを減らすサステナビリティーに配慮した。長い行列ができるほど好調だった。
トップリーグ最終年にニュージーランド代表SHのTJペレナラの活躍もあって5位と躍進。しかしリーグワン初年度に11位に終わると、NTT内のチーム再編に伴って、3部に落ちる苦難を味わった。井上さんや久内さんはジェットコースターのような日々の中で悔しさを抱えながらも、愛着のあるチームを少しでも良くしようと前向きに立ち上がってきた。
リーグワン1、2、3部を経験している唯一のチームだからこそ、フロントにいい意味での割り切りや反骨心がある。井上さんは「社員中心でもできることはある。いいケースのロールモデルとしてリーグ発展に貢献していきたい」と意気込む。
スポーツビジネスでは「集客はうそをつかない」と言われる。何よりスタッフがいい顔で仕事をしている集団に、人はついてくるのだろう。