国内 2023.10.14

イーグルス 31-7 スピアーズ。フラン・ルディケは、「今季のスピアーズでどれだけのことができるか」

[ 向 風見也 ]
イーグルス 31-7 スピアーズ。フラン・ルディケは、「今季のスピアーズでどれだけのことができるか」
日本代表指揮官就任が囁かれるフラン・ルディケ。試合結果は、トライ5本を奪ったキヤノンイーグルスが、クボタスピアーズに快勝した(撮影:福島宏治)

 リーグワン開幕への滑走路はもう敷かれている。

 昨季王者のクボタスピアーズ船橋・東京ベイは、10月14日、千葉県内の本拠地グラウンドで練習試合を実施した。

 同3位の横浜キヤノンイーグルスに7-31と敗れたが、フラン・ルディケヘッドコーチは「明らかにハッピー。イーグルスを相手に時間帯を作れた。シーズン最初の試合です。選手層を厚くするなか、若手やルーキーにプレーさせる機会を与えられた」。起用した若手に経験値を与えられたと前向きに捉えた。

 堀部直壮、デーヴィッド・ヴァンジーランドの両LOは、攻守で渋く光った。スクラムは、お互いに人員を入れ替えていた終盤に安定させられた。

 12月の開幕までにはこの日に欠場した主力候補や、新加入でウェールズ代表FBのリアム・ウィリアムズらワールドカップフランス大会を戦うメンバーが合流する。開幕前までの計画について、ルディケはこう語る。

「6試合中3試合は、いい選手でありながらシーズン中にプレー機会を与えられなかった選手が中心となります。その後は、ワールドカップ組や去年のリーグ戦に出た選手を入れていきます」

 2016年就任。着実にチームを強化した。現在は、来年からの日本代表の新ヘッドコーチの候補と見られている。今夏には指揮官の選考業務を担う委託業者から連絡を受けたという。そのままオンラインでのミーティングに移り、11月には2度目の面談があるとのことだが、今季は、スピアーズの2連覇へ挑む立場だ。

「会社側は(日本代表ヘッドコーチへの)就任にOKを出してくれています。この仕事自体は私にとってエキサイティングです。ただし、未確定な要素が多い。いまは、今季のスピアーズでどれだけのことができるか(に注力する)。先を見すぎずにやっていけたら」

 勝ったイーグルスは、SOの田村優ら主力組へ抜擢した若手を交える陣容で臨んでいた。就任4年目に突入する沢木敬介監督は、その狙いを明かす。

「完全、縦割りです。そういうバランス(メンバー構成)になった時に、誰がゲームをコントロールして、誰が崩すのかを見たかった」

 FLで先発したのはレキマ・ナサミラ。突進とオフロードパスで魅したことには手ごたえを口にするも、課題も明らかにした。

「タックルのスキルを上げなくてはいけない。またリーグワンの試合はスピード感がある。それに対応できるよう、フィットネスを上げないといけない」

 入学して4年以上が経つ東海大でわずかに単位を残しながらも、このほどイーグルス入りを発表していた。思いを述べる。 

「大学3年の頃からイーグルスでプレーしたいと思うようになりました。その先で、ジャパンになりたいとも。イーグルスでプレーすればジャパンに近づくと思いました。(沢木監督は)グッドガイです。最初に出会った時は、彼が真剣なのか、冗談を言っているのかがわからず怖いところもありましたが、選手とコミュニケーションをとるために和ませるところがあります。何より、コーチングが優れています。いいもの、悪いものをはっきり指示してくれるのがわかりやすい」

 日大卒のルーキーで、スターターのFBとしてチャンスメイクを重ねた普久原琉は、たんぱく質の摂取を意識して入団時と比べ約7キロ増。指揮官にこう評された。

「自分のプレーを伸ばすためにも、コミュニケーションのスキルを伸ばさないといけない」

 スピアーズと同じく覇権争いに名を連ねるのを期待されるなか、沢木監督はクラブ文化とプレースタイルをより醸成したいという。

「お互いをしっかりと信頼できる組織になっていかなきゃいけない。どんなことがあっても、です。それがラグビーにも、いわゆる勝負強さにも繋がってくる。俺がいる間は、『エキサイティング&クオリティラグビー』を、掲げていく」

 沢木は引き上げる際、ちょうど取材に応じていたルディケと握手をかわした。

FLで出場した元東海大のレキマ・ナサミラ(撮影:福島宏治)
左はイーグルスのFB、日大から加入の普久原琉(ふくはら・りゅう)(撮影:福島宏治)

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