女子 2023.10.12

女子新大会『WXV』開幕へ サクラフィフティーン長田主将「日本代表として覚悟もって戦う」

[ 編集部 ]
女子新大会『WXV』開幕へ サクラフィフティーン長田主将「日本代表として覚悟もって戦う」
WXV2に参戦する国の主将たち。右から2人目は日本の長田いろは主将(Photo: Khulani Media/World Rugby)


 女子15人制ラグビーの新しい国際大会『WXV』が今週末から始まる。これまで男子と比べて女子の国際試合は少なかったが、ワールドラグビーは今大会の発足から2年間で640万ポンド(約12億円)を投資してグローバルテストマッチカレンダーを構築し、女子ラグビーの競争力を向上させながら、大会の数や商業・ファンエンゲージメントの機会を増やしていく考えだ。

 予選などを経て、今大会に参戦するのは全部で18チーム。レベルに応じて3つのグループに分けられ、女子日本代表はセカンドグループの『WXV2』で戦う。
 南アフリカの西ケープ州で開催される『WXV2』は6チーム参加となり、アジアラグビー女子チャンピオンシップで優勝した日本のほか、今年の女子シックスネーションズ(欧州6カ国対抗戦)で4位だったスコットランド、同5位のイタリア、パシフィック・フォー・シリーズで4位だったアメリカ、ラグビーアフリカ・ウィメンズカップ優勝の南アフリカ、そしてオセアニアラグビー女子チャンピオンシップ優勝のサモアで構成される。

 大会フォーマットは総当たり戦ではなく、2つのプールに分けて(2023年7月24日時点の世界ランキングに基づく)別のプールの3チームと戦うクロスプール方式で競うこととなり、日本(現 女子世界ランキング10位)はイタリア(同8位)、サモア(同15位)、スコットランド(同9位)と対戦することになった。10月13日にステレンボッシュのダニー・クレイヴン スタジアムでおこなわれる日本対イタリア戦が開幕戦となる。

 女子日本代表のレスリー・マッケンジー ヘッドコーチはWXVについて、「すばらしい大会だと思う。私(元 女子カナダ代表)がプレーしていたときは日本やフィジー、南アフリカなどはティア3に位置していて、シックスネーションズや北米のチームなどと同じような経験を積むことがなかった。このような大会に参加できることは、プログラムとしても育成・強化の面でも必要不可欠なことだと思っている。この大会のフォーマット自体が同じようなレベルのチーム同士を競わせるものになっているので、3試合すべて、もちろん勝つ可能性が十分にありながら負ける可能性も捨てきれない。だからこそ我々は、自分たち自身に向かってチャレンジしていかないといけないと思っている。勝つか負けるかプレッシャーがかかるなかで、どう対処していくかによって自分たちの成長を図れると思っている」と語る。

 女子日本代表は、今大会前にはイタリアへ遠征し、9月30日にパルマで女子イタリア代表から初勝利(25-24)を挙げ自信をつけている。マッケンジー ヘッドコーチは再戦となるイタリアとのオープニングゲームへ向け、「日本を発った瞬間から、私たちはWXVに向けたマインドセットをもっていたと思う。私たちは前回とは少し違う顔ぶれで臨むが、イタリアもメンバーを替えてくると思うし、パルマと同じような試合になるとは思っていない。相手はより賢い形で戦ってくると思う」と初戦を見据えた。

 そして、長田いろはキャプテンは、「前回のワールドカップから、試合を積んでチームとしての経験も増えてきて、新しい武器が増えたと感じている。自分たちが準備してきたものを発揮したい」と意気込む。現在開催されている男子ワールドカップの日本代表の試合はチームルームなどでみんなで一緒に観戦し応援していたそうで、「いままでジャパンが過酷な合宿などで培ってきたチームワークや、日本代表として戦う覚悟を見れた。私たちも日本代表としてしっかり覚悟をもって戦いたい」とコメントした。

 初戦に臨む女子日本代表のメンバーは下記のとおり。

 なお、最高峰グループの『WXV1』は20日からニュージーランドで開催されることになり、昨年、2大会連続6度目のワールドカップ優勝を遂げたニュージーランドや、今年の女子シックスネーションズでグランドスタムを達成した世界ランキング1位のイングランド、シックスネーションズで2位だったフランス、同3位のウェールズ、そしてパシフィック・フォー・シリーズでニュージーランドに次ぐ2位だったカナダ、同3位のオーストラリアが競う。

 サードグループの『WXV3』は13日からドバイで開催され、アイルランド、カザフスタン、ケニア、フィジー、コロンビア、スペインの6チームが参戦する。

 レフリーでは、日本の桑井亜乃レフリーも今大会に選出されており、『WXV3』のアイルランド対コロンビア戦を担当することになった。桑井レフリーは「初めてテストマッチのレフリーを担当することとなり、身が引き締まる思い。セブンズで海外に挑戦、経験してきたことをこの大会で活かしていきたいと思う。プレーヤー時代に培ったものを、レフリーという立場でプレーを引き出せるのが私の強みだと思っている。全てのチームが最高のパフォーマンスを発揮できるように、私自身もベストを尽くしたい」とコメントした。

 なお、最初の2シーズンは『WXV1』と『WXV2』の間の降格・昇格はない。一方、『WXV2』と『WXV3』では初年度から入れ替えがあり、『WXV2』の最下位チームは『WXV3』へ降格し、『WXV3』で1位のチームが『WXV2』に昇格となる。

 来季の2024年大会はラグビーワールドカップ2025の予選も兼ねことになっており、『WXV』は女子15人制代表チームにとって世界トップに挑む新たな戦いの場となる。

WXV2は南アフリカで3週にわたり開催される(Photo: Khulani Media/World Rugby)

<女子日本代表(WXV2 第1戦 vs イタリア)試合登録メンバー>
1.加藤 幸子(横河武蔵野アルテミ・スターズ/19 caps)
2.公家 明日香(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA/5 caps)
3.左高 裕佳(弘前サクラオーバルズ/17 caps)
4.川村 雅未(RKUグレース/8 caps)
5.吉村 乙華(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA:立正大学ラグビー部/12 caps)
6.齊藤 聖奈(MIE PEARLS/37 caps)
7.長田 いろは(主将/ARUKAS QUEEN KUMAGAYA /24 caps)
8.永井 彩乃(YOKOHAMA TKM/18 caps)
9.阿部 恵(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA/17 caps)
10.大塚 朱紗(RKUグレース/18 caps)
11.今釘 小町(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA:立正大学ラグビー部/17 caps)
12.小林 花奈子(横河武蔵野アルテミ・スターズ/9 caps)
13.古田 真菜(東京山九フェニックス/22 caps)
14.松村 美咲(東京山九フェニックス/2 caps)
15.西村 蒼空(MIE PEARLS/5 caps)

16.谷口 琴美(横河武蔵野アルテミ・スターズ/10 caps)
17.小牧 日菜多(日本体育大学ラグビー部女子/11 caps)
18.永田 虹歩(―/13 caps)
19.ンドカ ジェニファ(北海道バーバリアンズ ディアナ/2 caps)
20.向來 桜子(日本体育大学ラグビー部女子/6 caps)
21.安尾 琴乃(BRAVE LOUVE/6 caps)
22.吉本 芽以(追手門学院大学女子ラグビー部/1 cap)
23.山本 実(ウスター・ウォリアーズ〔ENG〕/25 caps)

PICK UP