国内 2023.06.27

春の最終戦で早大を圧倒。帝京大の進化を支えるチームカルチャー

[ 編集部 ]
春の最終戦で早大を圧倒。帝京大の進化を支えるチームカルチャー
先制トライを奪い、チームを勢いづけた江良颯主将。(撮影/松本かおり)



 30度を超える暑さの中で激突した。昨季大学選手権ファイナルの再戦だった。
 6月25日、熊谷ラグビー場で関東大学春季大会の最終戦、帝京大×早大がおこなわれた。

 今年1月の頂上決戦で73-20だった両者間の距離は、新チームになってどれほどになったのか。
 そんな視点で注目された一戦は60-21。今回も帝京大が大きな差をつけて勝利を手にした。

 勝負は前半に決した。
 開始8分、HO江良颯主将が先制トライを奪うと真紅のジャージーに勢いが出る。

 その5分後にSH李錦寿が追加のトライを挙げると、前半だけで5トライ、33点を奪った。
 アカクロには得点を許さず、大量リードでハーフタイムに入った。

 接点での圧倒は後半も続いた。
 10分、攻め込んだもののミス。そのボールを拾われ、早大WTB杉野駿太に走り切られて失点するシーンはあった。
 しかし、その直後の10分間に3トライを重ねて48-7まで差を広げた。

 ラスト15分、互いに2トライずつを取り合った。
 最終的には約40点差の勝利も、後半だけなら27-21というスコアだった。

 勝者は、そこが納得できなかったのだろう。
 江良主将は、「接点、フィジカルの部分で圧倒、ドミネートするシーンは多かった」と試合を振り返るも、「それ止まりでした。自分たちの強みを出し切ったあと、最後までつなぎ切ることができなかった」と話した。

「まだチームになり切れていない。個人個人のスキル、強さでこのチームは成り立っているのかな、と感じました。これから夏合宿、秋、冬に向けて(選手同士が)つながり、チームとして戦えるように頑張っていきたいと思います」(江良主将)

 快勝にも緩んだところがない王者。明大との対戦は荒天により開催中止となり、両校が春季大会Aグループで4戦無敗のまま全日程を終えた。
 各校とのスコアなどから推測すれば、春シーズンを終えた時点では、真紅のジャージーがトップランナーであることは間違いないだろう。

 相馬朋和監督はこの日の早大戦について、「ラグビーをするには暑く、選手たちはかなりハードなプレーを強いられたかと思いますが、いいゲームをしてくれた」と選手たちを評価した上で後半の点の動きにも触れた。
 夏合宿以降、さらに成長しなければいけないとした。

 同監督は、チームの強さを支えているものと、全員が持つ向上心について、こう話した。

「帝京大学の学生は、本当によく練習します。厳しい練習をしたあとでも、自分たちでグラウンドに出る。その日の練習でボールを触っていないのであれば触るし、その日あまり走っていないのであれば、そこから走る。自分たちで考え、足りないことを探し、補い、成長しようと過ごしています。それを多くのスタッフが支えています」

 地に足をつけて強くなり続ける王者。追走者たちは、もっとスピードを上げて強化を続けないと追いつき、先を走ることは難しくなる。


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