海外 2023.05.15

韓国リーグ 参戦の日本チーム所属選手たちも活躍

[ 見明亨徳 ]
韓国リーグ 参戦の日本チーム所属選手たちも活躍
OK金融SH梁正秋(トヨタ)のハイパントへチャージを試みる現代LO佐藤大樹(浦安D-Rocks/撮影:見明亨徳)


 「2023 コリアスーパーラグビーリーグ 2次大会」第2節が5月13日、仁川市南洞ラグビー場でおこなわれた。1次大会の3位・現代グロービス、4位・OK金融と大学優勝の高麗大に軍体育部隊(尚武)、4チームが参加している。

 13日の2試合目に現代とOK金融が対戦。トップリーグで経験がある韓国代表選手を多数抱える現代が有利と思われていたが、OKが前半、逆転し15-5で折り返した。
 後半もSOハン・ギミンの2本のPGで21-10と20分過ぎまでリードした。しかし、残り10分で現代が2本のトライを奪い、24-21と逆転し、開幕連勝を遂げた。

OKはSH梁正秋がゲームを支配した(撮影:見明亨徳)

 この試合、日本チーム所属7選手が出場した。
 前半わずか1分55秒で現代が、元日野レッドドルフィンズWTBチョン・ヨンシクのトライで先制。
 しかし試合は、OKに急遽加入したリーグワンD1トヨタヴェルブリッツのSH梁正秋(りゃん・じょんちゅ)が支配していた。ラックへ素早く寄り、フォワードのサイドアタックやバックスラインを自在に操る。効果的なのはハイパント。風下ながら確実にエリアをとり、次のブレークダウンで現代へプレッシャーをかけていた。梁は大阪朝高が全国大会4強に進出した時のSH。
 大阪朝高で梁と同級生、バックスラインを組み気心が知れているNTTドコモレッドハリケーンズ大阪から参加の韓国代表CTBでもある金勇輝(きむ・よんひ)は、13番をつけ梁の狙いをOK韓国選手に伝えた。

 韓国代表、マツダスカイアクティブズ広島所属のCTB李修平(り・すぴょん)もボールキャリー、タックルに身を費やしていた。
 さらに1次大会に続いてヤクルトレビンズから加わるPR谷峻輔もスクラムなど淡々と仕事をしている。
 これが18分の逆転につながる。日野レッドドルフィンズ前ヘッドコーチの箕内拓郎氏が臨時で訪韓し、セットピースを教えている。ラインアウトからフェーズを重ねると現代ゴール前5メートルのスクラムにつなげた。スクラム後方、狭い右サイドへCTB李が動くと、現代ディフェンスの足がそちらへ踏み出す。NTTドコモのNO8シオネ・ヘマロト・アフェムイは迷わず反対のゴールポスト方向へ持ち出すと、自身、韓国での2トライ目を決めた。コンバージョン成功で7-5と逆転。

前半18分、OKはNO8シオネ・ヘマロト(NTTドコモ)がトライ(撮影:見明亨徳)

 25分、李のオフロードパスからチャンスをつかむもゴール前で、ノックオンで潰した。2分後、ルーズボールをFB朴ジョンヒョンが足で転がしインゴールへ、自ら押さえてOKが12-5へ。SOハンがPGを加え15-5で後半に入る。

 現代が徐々に圧力をかけはじめる。梁のハイパントにも前半17分から入ったLO佐藤大樹(浦安D-Rocks所属)がチャージを試みる。ボールを持つとOKディフェンスに体を当てていく。OKは1次大会は前半しか体力が持たない試合を続けていた。

 後半3分、梁のキックからブレークダウンになり、現代が倒れこみの反則。PGで3点を加えた。浦安FL/NO8坂和樹は6番で先発していた。NTTコミュニケーションズシャイニングアークス時代に同僚だったNO8シオネと体をぶつけ合う。リスタートの6分、坂が大きくゲインするとNO8イモシが左中間へ仕留め18-10と差を詰める。21分にOKハンが3本目のPGを成功し、21-10とした。OK金融応援団が盛り上がる。

現代FL坂和樹(浦安/写真右端)がブレークダウンを見極める(撮影:見明亨徳)
後半6分、現在NO8イモシがトライ。OK金勇輝(NTTドコモ)も粘ったが届かず(撮影:見明亨徳)

 残り20分の勝負。坂がチームを鼓舞した。30分、OKゴール前でのPK。坂がタップして突っ込む。ラックから出たボールをNTTコムでプレーしたPRシン・ウソンがポスト左へ潜り込みトライ。SOチョン・ブヨンが確実にコンバージョンを決め、21-17と逆転圏内へ。

 5分後、OKのノットリリースで得た22メートルライン付近右のラインアウトからオープンへ継続していく。右へ戻していくとCTB李ジンギュがディフェンスをかわし逆転トライを奪った。試合はこのまま24-21で終えた。

 試合後、金星を逃したOK梁は「ゲームプランができていた。後半は味方の足が止まりましたね」と述べた。CTB李も「成長している」と韓国選手たちをたたえた。

現代CTB李ジンギュ、残り5分で逆転トライを奪った(撮影:見明亨徳)

 第1試合は尚武と高麗大の接戦になった。尚武は東京オリンピック韓国代表のLOチェ・ソンドクが声をかけ味方を引っ張る。高麗も4月の早大定期戦の大敗(7-88)から学んだ素早い出足のディフェンスで尚武攻撃を止め続ける。アタックも速いパス回しで敵陣へ入る。

 前半1分で高麗がブレークダウンで勝つ。尚武22メートルのPG、バーにあたり得点できず。その後もお互い最後の詰めを逃す。38分、高麗が再び右中間からPGを狙うもポスト左へ外れ、無得点で前半を終えた。

尚武LOチェ・ソンドク(写真右から3人目)は攻守ともに韓国若手NO1!(撮影:見明亨徳)

 後半5分、尚武がキックリターンから仕掛け敵陣10メートル内へ進むもラックでターンオーバーされる。3分後、22メートル線へいくもノックオンになりチャンスを潰した。

 初得点は13分、高麗右WTB金ジェヨンが自陣から低い弾道のキックを蹴る。尚武が足にあて止めて拾おうとしたが、詰めてきた高麗左WTB李ムンギュが奪い取ると40メートルを独走し、中央へ仕留めた。自らのゴールキックで7-0と先制した。

 しかし19分、尚武が敵陣でしつこく前進すると、WTB金ウィデが左中間インゴールへ運んだ。コンバージョンも決まり7-7、同点振り出しに。金は延世大出身、OBでNTTコムでもプレー経験がある韓国代表の韋駄天WTBチャン・ヨンフン(韓国電力)が自分の後継者と見ている。

 最後までわからない展開。39分、高麗が自陣ゴール前で回す。ブレークダウンで一瞬、間があくと流通経済大出身、尚武HOファン・インボムがからむ。ノットリリース。ファンは流経大から帰国し1年間ポスコでプレーした。尚武で兵役を終えるとポスコへ戻る。そして尚武がPGを選択、成功し10-7。こちらも連勝で20日に現代と優勝を争う。

流経大出身、尚武HOファン・インボム(右から2人目)が接点で勝ちチームを連勝に導く(撮影:見明亨徳)

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